その後龍は沙織にゆっくりと語りかけた。
「沙織さん。今日は会わせたい人達を連れてきたんです。久我山椿さんと翔真君。」
椿は翔真と共に、沙織のそばに近寄った。
「は、初めまして・・・信さんの妻の椿と申します。この子はお義母様の孫の翔真です。」
椿は頭を下げ、翔真にも頭を下げさせた。
「信・・・?孫・・・?」
沙織は何を言われているのかわからない、というように不思議そうな顔をした。
翔真は家で椿に教えられた通りに、沙織に挨拶をした。
「おばあちゃん、こんにちは。僕、久我山翔真です。5歳です。ささむら保育園の青組です。好きな食べ物はハンバーグです。」
沙織はぼんやりとした目つきで翔真を眺めた。
そして翔真が被っている青色の帽子を凝視した。
沙織は目を見開き、身体を震わせながら手を伸ばし、翔真に向かって呼びかけた。



