龍と信の実家である『久我山』の家は、椿が思っていた以上の豪邸だった。

重厚な鉄の門を開けると石畳の道が続いていた。

その道を進むと、美しく広大な庭がある。

庭には丁寧に手入れされた草木や花壇があり、そこには季節の花が色とりどりに咲き誇っていた。

その家はモダンなベージュ色の大きな建物だった。

駐車場には赤やシルバーグレーの高級車が並び、豪邸の存在感を引き立てている。

椿も今日はフォーマルな白いワンピースで装って来た。

翔真にも白いブラウスに紺色の半ズボンという入園式のような服を着せ、頭にはいま翔真が一番お気に入りの青色の帽子を被せた。

「そんなに(かしこ)まることないから。」

そう龍に言われたが、初めての姑との対面に緊張しない嫁がいるだろうか?

龍は勝手知ったる実家だからか、薄手の白いセーターに黒いジーンズという砕けた服装をしている。