その夜、椿は翔真の気持ちを聞いてみることにした。
「翔真、お話があるの。」
「なに?」
「ちょっといったんゲームは止めて。大事な話だから。」
「わかった。」
翔真は持っていたゲームの電源を消し、椿に向き合った。
「龍さんはパパのお兄さんなのは知ってるよね?」
「うん。」
「龍さんとパパのお母さんは、翔真のもうひとりのおばあちゃんになるの。」
「ふーん。」
「龍さんがそのおばあちゃんと会ってみないかって言うんだけど・・・翔真はどう思う?会ってみたい?」
「うーん。」
翔真はしばらく悩んでいたが、その後ぽつりとつぶやいた。
「わかんない。」
そうだよね・・・
翔真はまだ5歳だ。
翔真に意見を聞くのは時期尚早だった・・・
「ママは?」
翔真が椿の瞳を覗き込んだ。
「え?」
「ママは会ってみたい?」
「・・・うん。ママは会ってみたい。龍さんとパパを育てた人に。」
「じゃあ僕も会いたい。」
「ほんと?」
「うん。僕のおばあちゃんなんでしょ?」
「そうね。」
「じゃあ会おうよ。」
そう笑顔で言う翔真に背中を押されたような形で、椿と翔真は久我山家へ出向くことになった。



