昼時になり、作った卵粥を持って、椿は再び龍の部屋を訪れた。
龍の顔色は少し良くなったみたいだ。
「龍さん。」
「あ、椿さん。」
龍が目を開けた。
「お腹空いたでしょ?お粥、食べられる?」
「ああ。ありがとう。朝から何も食ってないから腹が減ってた。」
龍はゆっくりと起き上がった。
「椿さん、食べさせてくれない?」
そう上目遣いで甘える龍に、椿は微笑んだ。
「・・・いいわよ。はい、あーんして?」
椿は粥をスプーンですくい、それを龍の口元へ近づけた。
龍がすかさずぱくりとそれを食べる。
「ん!旨い!」
「そう?食べ物が美味しく感じられるなら、もう大丈夫ね。」
「・・・椿さんが抱きしめてくれたからかな?」
龍の言葉に椿はわかりやすく狼狽えた。
「あれは・・・龍さんが弱っていたからよ?」
「出来ればキスもしたかったが・・・風邪を移してはいけないから我慢した。」
「な、何言ってるの!またそうやって人をからかって!」
顔を赤くしている椿を見て龍は柔らかく笑い、その後声のトーンを落とした。



