「ママ。龍は大丈夫?」
家に戻った椿に、翔真が心配そうな顔で尋ねた。
「うん。龍さんはちょっとお熱があるみたい。でもゆっくり休めばまた元気になると思う。」
「そっか!良かった。・・・あれ?ママも顔が赤いよ?熱があるんじゃない?」
「えっと・・・ママは大丈夫。」
「ほんと?」
「うん。」
椿は龍に抱きしめられた瞬間を何度も思い返し、頬を火照らしていた。
龍からの熱が、椿の心と身体にまだ残っている。
私ってば・・・なんてことを・・・
だって・・・あれは仕方が無い・・・龍さんは病気なんだもの。
熱が出た龍さん、甘えん坊の子供みたいで可愛かったんだもの・・・
でも・・・
本当はもっと龍さんの腕の中で抱かれていたかった・・・



