椿はいったん自宅へ帰り、体温計と冷えたペットボトルの水、そして風邪薬を持って、再び龍の部屋へ戻った。

「龍さん。熱測るわよ。」

椿は龍の脇の下に体温計を差しこんだ。

しばらくするとピピピピッと体温計が鳴り、椿がそれを引き抜くと、38.7℃の熱があった。

「まずは水分を取って。」

椿は龍の背中を抱えて起き上がらせ、冷たい水の入ったペットボトルを口に当てた。

「椿さん・・・飲ませてくれないか?」

「仕方が無い人ね。ほら、こぼれないようにゆっくりね。」

龍は椿に背中を支えられながら、少しづつ水を口に含んだ。

「お薬も飲んで。風邪薬、持って来たから。」

椿は白い錠剤を2錠、龍に手渡した。

龍はその薬を、ペットボトルの水で喉に流し込んだ。

ぐったりとしている龍を、椿はまたゆっくりベッドに寝かせた。