「龍さん・・・椿です。」

椿はそっと龍の部屋に入った。

龍は部屋の奥のベッドで、顔を赤くしながら仰向けで目を瞑っていた。

「龍さん。大丈夫?」

椿の声に気づいた龍は、薄目を開けた。

「ああ、椿さん。」

「勝手に部屋に入ってごめんなさい。」

「いや、椿さんなら大歓迎だ。」

龍は荒い息を吐きながら、大きく咳き込んだ。

「・・・どうしたの?もう病院へは行ったの?」

椿の問いに、龍は首を振った。

「心配ない。ただの風邪だ。寝てれば良くなる。」

「熱は測った?」

「いや・・・うちには体温計がない。」

「嘘でしょ?!」

「少しくらいの熱は、いつも気合いで治して来た。」

「だからって・・・ちょっと待ってて。」