「まりあさん、大丈夫?」

大きく深呼吸しながらそう声を掛ける椿に、まりあが肩をすくめた。

「これくらい慣れてるっつーの。ナンパなんてしょっちゅうされるし。だって私、綺麗だしスタイル抜群だかんね。」

「それはそうだけど・・・」

「ま、でもオバサンには助けてもらったし、どうせ暇だし、ジュースくらいはおごってやるよ。」

「え?いいの?」

てっきりまりあに嫌われていると思っていた椿は、その意外な言葉が嬉しくて、誘いに乗ることにした。

翔真も世話になっているし、出来るだけ敵は作りたくない。

「そこのモスで良ければね。」

まりあが道路向かいの緑色の看板の店を指さした。