週末のファミレス内は、家族連れの客で賑わっていた。
「龍さん、ありがとう。今日は助かったわ。」
椿はステーキを頬張る龍に、素直に礼を言った。
なんだかんだ言っても、やっぱり男手があるのはありがたい・・・
「いや。俺も楽しかったよ。」
龍はそう言ってにこりと笑った。
食事を食べ終え、翔真は追加注文したバナナパフェを夢中で頬張っている。
こんなに喜ぶのならもっと早くに連れてきてあげれば良かった・・・
そう思いながら食後のコーヒーを飲む椿に、龍が身を乗り出した。
「椿さん、里見君の件なんだが・・・。」
「まりあさんがどうかしたの?まあ、私には関係ないけど!」
「なに怒ってるんだ?もしかして・・・妬いてるのか?」
「妬くわけないでしょ?!」
「やっぱり怒ってるじゃないか。」
そう言うと龍は嬉しそうに口を緩めた。
そしてその後、龍にしては珍しく、大きなため息をついた。
「あの子にはさ、ほとほと困ってるんだよ。一回個人的にモデルを頼んだら、なんだか懐かれてしまってさ。それからは毎日大量のLINEや待ち伏せ行為・・・そして何故か今回は自宅まで特定されてしまった。」
「付き合っちゃえばいいじゃない。あんな綺麗で若い子が好いてくれているんだから。」
「何度言わせるんだ?俺は椿さんがいいんだ。」
そう真剣に椿をみつめる龍の視線に顔が赤くなる。
けれど椿は、フイとその視線から逃げた。
「それは翔真がいるからでしょ?」
「だから違うって。俺は椿さん以外眼中にない。」
「はいはい。」
椿はそう言って軽くあしらった。



