次の日の土曜日。

椿が翔真を連れて買い物へ行こうとすると、それを待っていたかのように龍が部屋から出てきた。

「椿さん。買い物へ行くのか?」

「ええ。そうだけど?」

「俺も一緒に行ってもいいか?あ、重たいものがあったら俺が持つから。」

丁度今日はお米の特売日だ。

龍がいてくれるとありがたい。

でも・・・・・・

「大丈夫よ。自分でなんとかするから。」

「そう言うなよ。昼飯おごるから。」

「またそうやって私達を餌付けしようとして。」

つれない態度の椿にもめげず、龍は翔真と手を繋いでしまった。

「龍って、ママのことが好きなの?」

「なんだ。翔真、今頃気づいたのか?」

「ふーん。でもママは今でもパパが好きなんだよ?龍に勝ち目はないね。」

「まあ、人生なにが起こるか分からないからな。石の上にも3年ってね。」

「石の上にも3年ってどういう意味?」

「ママに好かれるよう努力すれば、翔真のパパになれるってことだ。」

「龍なら僕のパパになってもいいよ?」

「ははっ。翔真にそう言って貰えて嬉しいよ。」

「翔真に変なことを吹き込まないでください。」

椿はむくれながらそう言った。