「里見君。俺の部屋の前でなにをしているんだ?」

見ると丁度帰って来た龍が呆れた顔で、まりあを見下ろしていた。

まりあはさっきまでの口調とは打って変わって、目を輝かせ、猫なで声になった。

「あ!銀先生。お帰り!まりあ、先生のこと待ってたんだよ?早く部屋に入れてよお。またデッサンさせてあげるから!」

龍は大きなため息をついた。

「もう君には個人的にモデルを頼まないって言っただろ?いまの俺は椿さんと翔真のことで頭が一杯なんだから。他を当たりなさい。」

「ええ?!こんなオバサンのどこがいいの?」

「どこがって・・・全部に決まってるだろ?野暮なことを聞かないでくれ。」