それからというものの、翔真は土曜日になると、久我山龍もとい草壁銀の絵画教室へ通うことになった。
翔真は教室で絵を描くのが楽しいらしく、毎回顔を上気させて帰ってくる。
「今日は何を描いたの?」
椿が聞くと、翔真は嬉しそうに言う。
「リンゴの絵を描いた。」
「今日は絵の具を使った。」
龍も椿に毎回翔真の様子を報告してくれる。
「やっぱり翔真は絵の才能がある。どんどん絵が上手くなっているし、教室でも人気者だ。椿さんも今度見にくるといい。」
「そうなんだ。ありがとう。」
翔真の成長は嬉しい。
けれど本音を言えば、翔真が自分の手を離れ遠くへ行ってしまったようで、少し淋しくもあった。



