真名はかすみにケンカのあらましを伝え、真面目な顔で言った。

「翔真君も悪気があったわけではないんです。そこはご理解下さい。」

「悪気がなければ何してもいいっていうわけ?!」

「そうではないです。でも健太くんにも非はあったんです。ご家庭でもそこは話し合って頂きたいんです。」

かすみは冷ややかな目で真名を見た。

「フン。最近の保育士は加害者を庇うのね。やってられないわ。健太、帰りましょ。帰りにアイスクリーム買ってあげるからね。」

かすみと健太は挨拶もせず、園を出て行った。

すっかり元気をなくしてしまった翔真に、真名が慰めの言葉をかけた。

「翔真君、ちゃんと謝れて偉かったね。これからは気を付けようね。」

翔真は泣きそうな顔で真名を見て、小さく頷いた。