次の日。
この日は、お昼から仕事が入っていた為、9時に起床し、準備を済ませたのだが、少し時間が早過ぎてしまい、わたしは時間潰しの為に外へ出ると、直生が店長を務める"丘咲フラワーショップ"へと足を運んだ。

足を運んだといっても、実はわたしが住んでいる5階建てマンションの一階部分が"丘咲フラワーショップ"になっており、マンションのオーナーは直生のお母さんで、"丘咲フラワーショップ"という名の花屋は今は亡き直生のお父さんが築き上げてきたお店でなのだ。

そして、直生とわたしは幼馴染ということもあり、マンションのオーナーである直生のお母さんである"美紗ちゃん"は、わたしを特別価格の家賃でこの綺麗なマンションに住まわせてもらっている。

ちなみに、直生とわたしは三階でお隣さんだ。

階段で一階に下り、外へ出ると、丁度店先でお花を陳列している美紗ちゃんの姿があり、わたしは「美紗ちゃん!」と声を掛けた。

すると、美紗ちゃんはふとこちらを向き、わたしだと気付くと「あら、陽茉莉ちゃん!おはよう!」と笑顔を見せてくれた。

「今日もお花綺麗だね。」
「でしょ?今日は注文がそんなに入っていないから、こんなに丁寧に手入れ出来てるけど、もうそろそろ忙しくなりそうだよ。」
「だよね。母の日近いもんね。」
「今から考えるだけで恐ろしいよ。」

そう言いながら、腰に手を当てる美紗ちゃん。

わたしはそんな美紗ちゃんに「今年もわたし手伝いに来るよ。あまり戦力にはなれないけど。」と言った。

わたしの仕事は自分で休みを決められる為、去年もそうだったが、"丘咲フラワーショップ"の繁忙期にはお手伝いに入らせてもらっているのだ。

「本当?それは助かるよ!ありがとね!」

美紗ちゃんはそう言うと、お店の中に向かい「直生〜!陽茉莉ちゃん来てるよー!」と声を掛けた。

すると、お店の中から腰にエプロンを巻いた直生が姿を見せた。