わたしは五十嵐さんと別れたあと、社用スマホのGPSを切った。

基本的にわたしは会社へは出社せず、直接お客様と待ち合わせをして、そのまま直帰する。

その為、わたしの場合はGPSをオンにすることで業務開始、オフにすることで業務終了の合図となり、それが会社側に記録されるのだ。

本来であれば、会社に出社して記録などを残さなければならないのだが、今のわたしは指名率No.1の為、特別扱いをされている。

わたしだって、最初からそうだったわけではない。

わたしなりに努力をし、一年かけてこの位置までに辿り着き、そして指名率No.1を半年保ち続けているのだ。

それからわたしは近くのコンビニに入ると、直生に電話をかけた。

すると、直生は2コールで電話に出た。

「もしもし?」
「あ、もしもし?仕事終わったよー。」
「今どこ?」
「うんとね、居酒屋縁日っていうお店の斜め向かえにあるコンビニにいる。」
「おけ。じゃあ今から迎えに行くわ。」

そう言って電話を切る直生。

直生はわたしが夜遅くまでの仕事がある時は、必ず車で迎えに来てくれる。

直生は心配性というか、何というか、、、
とにかく、いつもわたしを気にかけてくれる優しい幼馴染なのだ。

それから待つこと20分、コンビニの前に直生の車が見え、わたしコンビニを出て直生の車の助手席に乗り込んだ。

「お疲れ。」

そう言ってくれる直生は毎回「今日は大丈夫だった?変なことされてないよな?」とお決まりの言葉を言うのだった。