「さて、そろそろ行こうかな。」
わたしはスマホで時間をし、そう言った。
「今日もあの仕事?」
「うん、今日は19時から予約入ってるの。」
直生が不安そうな表情で言う"あの仕事"とは、わたしの今の職業である"レンタル彼女"のことだ。
わたしは"株式会社 プレミア"というレンタル彼女を扱う業界では有名な会社に登録しており、指名率は実は一番高く、給料も待遇もそれなりに良い為、ここ一年半程、レンタル彼女の仕事をしているのだ。
「今日は、どんな人?」
「30代半ばの人で、友達に彼女がいるって嘘ついちゃったみたいで、それで彼女のフリする、みたいな?」
「ふーん。」
不満そうにわたしと目を合わさず、オムライスを頬張る直生。
わたしは「何よ、その"ふーん"って。」と言った。
「いや、別に。」
「どうせ、また"そんな仕事辞めろよ"とか思ってるんでしょ?」
「、、、だって、心配じゃん。」
「ただデートしたり、彼女のふりするだけの仕事だよ?それだけで前職の事務員してた時の倍は稼げてるんだから。別に身体の関係持つわけじゃないし。」
「でも、、、普通に考えたら危ないだろ。相手は男だぞ?」
「相手が男なのは、当たり前じゃない!レンタル彼女なんだから。」
わたしはそう言うと、バッグを肩にかけ立ち上がった。
「じゃあ、オムライスご馳走さま!行ってくるね!」
「仕事終わったら連絡しろよ?何時までの予定?」
「21時まで!ちゃんと連絡するから!じゃあね!」
そう言って、わたしは直生に手を振り、直生の家をあとにすると、予約者の五十嵐さんとの待ち合わせ場所へと向かった。



