「なぁ、陽茉莉って、運命って信じる?」

そう訊くのは、わたしの目の前で真剣な表情をする幼馴染というか、腐れ縁というか、、、何だかんだ幼稚園の頃からの仲の丘咲直生だ。

「運命?なしたの、急に。」

わたしは、直生の家で直生が作ったオムライスを頬張りながらそう言った。

「いや、最近さぁ。同じ夢ばっかりみるんだよ。」
「夢?どんな?」
「夢の中の自分は、今の自分の姿じゃなくてさぁ。綺麗な着物を着た女の人を連れて走ってて、、、駆け落ちなのかなぁ?崖っぷちまで行ってさぁ。それから、お互いに鋭い石で手首に傷をつけて"これがお互いを探す目印だ"って、一緒に崖から落ちるんだよ。」

真剣な表情でよくみるという夢の話をする直生。

あれ?その夢、、、わたしも同じような夢をみたことがあるような、ないような、、、

「何か、凄い夢だね。」
「だろ?何か不思議なんだけど、夢なのに夢じゃないみたいにリアルで、、、最近よくみるから気になってさぁ。」

そう言って、直生はスプーンでオムライスを掬うと、口へと運んだ。

「で、それが運命とどう関係あるわけ?」

わたしがそう訊くと、直生は「もしそれが夢じゃなくて、前世の記憶だとしたら、運命の相手がいるってことだろ?」と言い出した。

「運命かぁ、、、。でも、わたしは運命って、自分で切り拓いていくものだと思うけどなぁ。」
「確かにそれは一理ある。でもさ、運命って、運命(さだめ)って読ませる場合もない?」

直生の言葉に「あぁ〜、確かに。」と納得する。

運命かぁ、、、
わたしは思った。

確かに自分で切り拓く運命もあれば、決まっている運命もあるかもしれないと。

わたしはそう思いながら、最後の一口を口に入れると、手を合わせ「ご馳走さまでした!」と言ったのだった。