そして、次の週の"五十嵐悠人"の予約が入っている日になった。

時間は12〜14時までの2時間。

わたしが待ち合わせ場所へ行こうと、"丘咲フラワーショップ"の前を通り過ぎようとすると、「陽茉莉!」と直生が声を掛けてきた。

「もしかして、今日のお客さんって、あの人?」
「うん。」
「気をつけろよ?」
「大丈夫だよ。直生は心配し過ぎ。」
「そ、そりゃあ、、、心配するだろ、、、幼稚園からの、幼馴染だし。」

いつも以上に心配する直生にわたしは「いざとなったら、SOSブザー押すから、」と言った。

"SOS"ブザーとは、そのままの意味だが、お客様から無理矢理嫌なことされたり、二人きりになる場所へ連れて行かれそうになった時に押すブザーのことだ。

基本的にルールとしては、"性的な行為は禁止"、"二人きりになる場所へ行くことは禁止"とされている為、その時用の防止対策となっている。

「じゃ、いってきます!」
「、、、うん、気を付けて。」

不安そうな表情を浮かべる直生に手を振り、わたしは歩き出す。

それからわたしはバスで以前と同じ待ち合わせ場所で五十嵐さんと待ち合わせをし、到着すると前回同様に五十嵐の方が先に待っていた。

「おはようございます。」

わたしがそう声を掛けると、ハッとして驚き「お、おはようございます。今日もよろしくお願いします。」と言う五十嵐さん。

「またのご指名ありがとうございます。今日はどこに行きますか?」

わたしがそう訊くと、五十嵐さんは「カフェなんて、どうですか?」とわたしの反応を窺うように言った。

「いいですね!じゃあ、行きましょうか!」

わたしはそう言って、五十嵐さんの腕に手を絡めた。