なんか僕を見てる…。

雨が降る放課後、3時15分。僕、橘真翔は誰かから睨まれていた。

厄介事に巻き込まれる前に早く帰ろ。

アヒルのストラップの付いたお気に入りの傘を手に取り、そそくさと靴箱を出る。

「ねぇ。」

ん?僕か?

「ねぇ、そこのアヒルの人。」

「え、なんでしょう…。」

話しかけられちゃった…。もっと早く歩くべきだった。

「ねぇー、俺傘忘れちゃったんだよね。」