For Myself

胃カメラの時間が近づいてきたため検査室に向かう。検査室では準備している看護師と、消化器科の先生に挨拶をする。俺は主治医としてこの場にいるが、ほとんど消化器科の先生にお願いしてしまう。



時間より少し早く彼女も到着した。負担がかかるから車椅子で来るようにお願いした。彼女が検査室のベッドに横になってもらう。



「先生ちょっといいですか?」



看護師に声をかけられ少し離れたところで話を聞いた。看護師が言うには車椅子への移乗の際にベッドから立ち上がった時、ふらつきが見られたとの事だった。



多分、貧血の症状だと考えられる。早めに貧血をどうにかしないといけない。輸血の指示はしてあるため反応などを見つつ様子を見ていくと伝えた。



「佐久間先生準備出来たので、始めていきます。」



彼女は局部麻酔でやることに決めたようで局部麻酔で進んでいく、局部麻酔と言ってもかなり辛いため苦しそうだ。嘔吐反射なども頻繁に起きており涙が溜まっているのが分かる。



俺もできるならやりたくない。看護師が彼女に呼吸の仕方を教えたり苦しくならない方法を説明しているがかなり難しそうであった。次は静脈麻酔方がいいなと感じた。



しばらくして、どうにか胃の中まで進んだ管。やっと胃の中が映し出された。専門では無いもののかなり胃が荒れていることはわかる。



「ああー、胃潰瘍ですね。ここまで酷くても我慢してたとは。かなり腹痛あったでしょう?一応、ピロリ菌の検査に回しておきます。」