看護師に入院の説明をするよう指示をし、用意しておいた食事も持って行ってもらう。まずは状態把握からだ。普通の食事（病院食だから味は薄い）を、どれだけ食べれるのかを見たいと思った。



今日は疲れもあるだろうし完食はできなくとも2/3ほどは食べて欲しいと思っているがどうだろうか。そう思いながら、明日の日程調整や他の患者の元へ行き仕事をした。



夜の回診が終わりナースステーションで記録をしていたらナースコールが鳴る。夏鈴ちゃんの名前だから多分トイレか何かだろうそう思っていたら焦った声が響く。



「あ、あの！新しく入院してきた子が吐いちゃってるかも！」



周りの看護師の顔色が変わる。看護師の1人が立石さん嘔吐してるかもとの事なので一緒に先生もと言われ一緒に向かう。


少し早歩きで病室に入ると、少し怯えたような2人の様子があって、看護師が落ち着くように伝えた。



「ごめんね開けるよ」



そう言って、カーテンを開けて中に入った。食器とトレーが吐瀉物で汚れ、真っ青な顔をした彼女の姿があった。涙も流している。



「ご、ごめんなさい。吐いちゃいました。」



口を手で抑えているから、手が私のベトベトになっている。吐瀉物は味噌汁のようなものだから、味噌汁だけ頑張って飲んだのだろう。



ほかの看護師を呼んだことで、目の前はあっという間に綺麗になっていった。簡単に、診察をしながら俺は声をかけた。



「ご飯別に無理して食べなくて良かったんだぞ。ここは病院だ、苦しかったら頼っていい。ナースコールを押して食べれないと伝えればいい。これからはそうして欲しい。」



彼女に目線を合わせて伝える。多分、彼女は頼り方を知らない。病院の中だけでも彼女にとって頼りやすい空間を作りたいと思っている。



そして、食事が口からまともに取れないことから、先程も入れたが栄養を点滴でもう一度入れることにした