For Myself

病院に到着するまで、高森が状態を把握してくれていた。2人を後ろの座席にしておいて良かったと本気で思う。



病院に到着しても直ぐに体調は回復せず歩くことも難しそうであるため車椅子に乗せて診察室へ向かった。診察室のベッドに横にしたら真っ青な顔で目を瞑っている。検査どころではなくなってしまった。



「ここで少し休んでて、ちょっと着替えとかしてくるから。


水と受け皿も置いておくから気持ち悪かったりしたら遠慮なく吐いちゃっていいからね。



看護師さんは近くにいるから何かあったら頼ってね。」



簡単に説明して診察室を後にする。医局に向かい帰ってきたことと1人連れてきたことを伝える。



「佐久間くんが珍しいね。」


「まぁ、死んでしまいそうな人を放っておくことは医者としてできないですよ。」


「まあそうか。それでその患者さんは?」


「車酔いして今休ませてます。落ち着いたら検査するつもりです。」


「それなら、早く着替えて行ってあげなさい。不安だろうし。」


「はい。」



着替えて診察室に入るとだいぶ顔色が落ち着いた様子でベッドに座った彼女がいた。


「気分はマシになったか?」


「すみません。だいぶ良くなりました。お水ありがとうございます。」


「車酔いはよくあるのか?」


「あんまり車に乗ることはないのでなんとも言えないですが、バス酔いとかは多少したことはあります。」


「そうか。でも、だいぶ顔色も良くなったし良かった。いまから検査したいんだが大丈夫か?」


「はい。お願いします。」