街頭で行われている募金活動がすべて本物とは限らないし、とか、
俺がちょっと募金したところでどれほど役に立つのか、とか、
よけいなことを考えていたらきりがない。
(あったかいお茶、飲もう)
ピンポーン。
お茶っ葉と急須とマグカップを用意したところで玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に俺の家のチャイムを鳴らすのはひとりしかいない。俺が、
「こんばんは」
ドアを開けてほほ笑んだら、
気の弱そうな青年が、安心したようにニコッと笑った。
「わぁ、おにぎり!」
俺の部屋のとなりのとなりに住むその会社員の青年が持ってきてくれたのは、おにぎりだった。
青い縁取りのある丸い白い皿に小さめのものが3つ乗って、
ラップをかけてある。
「きれいな三角!」
「塩むすびです」
「おいしそう! いっしょに食べよ」
俺がニコニコしながらそう言うと、彼が遠慮がちにコクッとうなずいた。
彼の作ってくれた塩むすびは、ほどよい塩梅で、
米もふっくら炊けていて、とてもおいしかった。ほんのりまだあたたかくて。
おいしいおにぎりを食べておなかがふくらんで、あたたかいお茶を飲んで、ほっとして、
だからだろうか。口がゆるんでしまった。
俺は、いつの間にか、
今日あったことを、全部、彼に話してしまった。
彼は両手でマグカップを持ち、長い脚を折りたたんで、しばらく言葉を探すように宙を見ていたが、
「募金ってネットでもできますし」
そう、つぶやくように言った。
「募金してるひとたち、たぶん、みんな、自分のこと多かれ少なかれ偽善者だと思ってるだろうし」
「うん」
「そんな偽善がちょっとでも誰かの役に立つなら、それで良いじゃないですか」
俺がちょっと募金したところでどれほど役に立つのか、とか、
よけいなことを考えていたらきりがない。
(あったかいお茶、飲もう)
ピンポーン。
お茶っ葉と急須とマグカップを用意したところで玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に俺の家のチャイムを鳴らすのはひとりしかいない。俺が、
「こんばんは」
ドアを開けてほほ笑んだら、
気の弱そうな青年が、安心したようにニコッと笑った。
「わぁ、おにぎり!」
俺の部屋のとなりのとなりに住むその会社員の青年が持ってきてくれたのは、おにぎりだった。
青い縁取りのある丸い白い皿に小さめのものが3つ乗って、
ラップをかけてある。
「きれいな三角!」
「塩むすびです」
「おいしそう! いっしょに食べよ」
俺がニコニコしながらそう言うと、彼が遠慮がちにコクッとうなずいた。
彼の作ってくれた塩むすびは、ほどよい塩梅で、
米もふっくら炊けていて、とてもおいしかった。ほんのりまだあたたかくて。
おいしいおにぎりを食べておなかがふくらんで、あたたかいお茶を飲んで、ほっとして、
だからだろうか。口がゆるんでしまった。
俺は、いつの間にか、
今日あったことを、全部、彼に話してしまった。
彼は両手でマグカップを持ち、長い脚を折りたたんで、しばらく言葉を探すように宙を見ていたが、
「募金ってネットでもできますし」
そう、つぶやくように言った。
「募金してるひとたち、たぶん、みんな、自分のこと多かれ少なかれ偽善者だと思ってるだろうし」
「うん」
「そんな偽善がちょっとでも誰かの役に立つなら、それで良いじゃないですか」



