「おかえり」
「ん、ただいま」
となりの家の住人だ。
朝、早起きしなければならない会社員だと言うのに、こんな時間まで起きている。薄手のグレーのスウェット姿で寒そうに腕をこすりながら。
ふわふわの黒くて短い髪に、ぱっちりとした子犬みたいな黒い目、
それに赤くぽってりとした唇を持つ細身の青年だった。

そして、
「やった、みたらし団子!」
「あんこもあるよ」
そいつは、深夜、
何かおいしいものを作って俺の家に持ってくる。