「―莉羅っ莉羅ぁっ!!!」


ピピピーピ、ビビビッ、ビービビッビ


機械の音が、遠く聞こえてくる


「心拍数低下!!!!!!おい!急いで酸素チューブ持って来いッ‼」


お母さんの声、担当医師さんの声、つながれた点滴も…もう何もかもが重く感じた


今までに出てきた発作より、先生達の顔も、体調の悪さも、比べ物にならなかった


「莉羅っ‼…頑張れっ…いなくなるなっ…‼」


お父さんの悲痛な声も、ぼやける意識の中で聞こえてきた


あ、そっかぁ、私このまま―――


入院生活が始まってから外の世界に足をふみいれたのは…片手で数えれる程度だっけ


せめて一回、学校にも行ってみたかったなぁ


そんなことを考えていると、親戚が続々と集まってきた


みんな顔を青くして、私の顔を覗き込んでいた


病室が緊迫の空気の時、私は自分の人生に後悔を抱いていた


あーあ、私の人生なんだったんだろ、と


物心ついたときには、入院してて


友達なんか1人もいなくて


彼氏やデートなんて、もってのほかで


運動場でドッチボールして、鬼ごっこして


教室でトランプして、友達のおしゃべりして


放課後に友達と遊んで、コイバナとかしてみたかったな


テストで悪い点を取って、友達と励ましあったり


展覧会とか運動会とか、行事に参加したり


――普通の人の人生を、生活を、送ってみたかったなぁ――


「がんばっ…り…さん…」


看護婦さんの声が途切れ途切れに聞こえたところで、私の意識は途絶えた


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「…ん…?あ、れぇ…?」


どれくらい時間がたったかわからなかったが、さっきの様な空気感はなく、無意識に寒くなるほど静かだった


そして、すがすがしい気持ちで目を開けた


だるくない、それどころか、気持ちがいい


普通の子供だ、今、やっと


そんなことを考えていたが、周りを見渡して気づいた


ここは―――


この世じゃなかった…