ステラクリマの匣庭ー貴方が読むまで、終わらない物語ー

貴方がこの物語をここまで辿ってくれたこと、
僕は心から感謝している。

貴方の手の中で、少女の記憶は確かに息を吹き返した。

星たちの狂気も、愛も、嘆きも。

貴方がページをめくるたび、彼女はもう一度だけ生きた。

そのことが、きっと彼女の救いだった。
……でも、これは終わりじゃない。

僕は語り部であり、
この物語の最初の読者だった。

貴方は、二人目。

そしてこの先、貴方の声が、貴方の想像が、
三人目を、四人目を、この夜に連れてきてくれるのを――
僕は、信じている。

どうか、貴方がこの物語を閉じたあとも、
どこかで星の光を見つけたなら、
少しだけ思い出してほしい。

名もなき“かけら”が紡いだ、誰かの祈りを。

それが、僕の願いの、いちばん最後のかけらだから。

ありがとう。
おやすみ。

また、夜のどこかで。