――目が、覚めた。
少女は、そこにいた。
星の心を取り戻し、すべてを終わらせたはずの、彼女だった。
だが、空は開いていなかった。
夜は明けていなかった。
その胸にあったはずの“星の心”は、すでに失われていた。
「……どうして……?」
呟いた声は震えていた。
けれど、答える声はなかった。
――否。
彼らは、答えなかっただけだ。
アリオトが笑っていた。
その手には、ルカの“自由”が砕かれ粉々の欠片が握られていた。
「君が空を見上げたとき、すごくきれいだったんだよ。
だから――あれは夢でいい。現実なんて、いらないでしょ?」
ドゥーベが微笑む。喉の裂け目はもうない。
「辛い想いをさせてごめんね。だからね、今度は忘れてほしいな」
彼の手が、ルカの額に触れる。
指先から、“思考”が抜けていく。
メラクの足音が響く。硬質で、不穏で、破壊的なリズム。
「逃げようとした時点で、もう駄目だったんだよ、ルカ。
ほかの誰かの世界にお前がいたなんて、ありえないだろ?」
ミザールが跪く。血に染まった手で、彼女の手を握る。
「言葉はいらない。僕に、君の意思なんて分からないほうがいい」
「だって、君が僕を否定するなんて――ありえないから」
少女は、そこにいた。
星の心を取り戻し、すべてを終わらせたはずの、彼女だった。
だが、空は開いていなかった。
夜は明けていなかった。
その胸にあったはずの“星の心”は、すでに失われていた。
「……どうして……?」
呟いた声は震えていた。
けれど、答える声はなかった。
――否。
彼らは、答えなかっただけだ。
アリオトが笑っていた。
その手には、ルカの“自由”が砕かれ粉々の欠片が握られていた。
「君が空を見上げたとき、すごくきれいだったんだよ。
だから――あれは夢でいい。現実なんて、いらないでしょ?」
ドゥーベが微笑む。喉の裂け目はもうない。
「辛い想いをさせてごめんね。だからね、今度は忘れてほしいな」
彼の手が、ルカの額に触れる。
指先から、“思考”が抜けていく。
メラクの足音が響く。硬質で、不穏で、破壊的なリズム。
「逃げようとした時点で、もう駄目だったんだよ、ルカ。
ほかの誰かの世界にお前がいたなんて、ありえないだろ?」
ミザールが跪く。血に染まった手で、彼女の手を握る。
「言葉はいらない。僕に、君の意思なんて分からないほうがいい」
「だって、君が僕を否定するなんて――ありえないから」

