わたしは何の不安も疑いもなく、コクリと頷き、弦巻さんにおんぶされ、タクシーを拾って弦巻さんの自宅に招かれた。

弦巻さんは、都心から外れたアパートに住んでいるわたしとは違い、どちらかといえば都心近くの綺麗なマンションの8階に住んでいた。

「とりあえず、身体が冷えているから温まりましょうか!」

そう言って、お風呂を沸かしに行ってくれた弦巻さん。

わたしはリビングの傍らでポツリと立ち尽くしながら、リビングを見渡した。

今日初めて知り合った男性の家に来るなんて、わたし何してるんだろう。

しかし、自分の家に帰ったところで何もかも自分一人で出来る自信はなく、彼を頼るしかなかったのだ。

それからお風呂が沸くと、わたしは弦巻さん宅の綺麗で広いお風呂で温まらさせてもらい、弦巻さんのわたしにはサイズの大きいTシャツを借りると、それを着てリビングへと戻った。

「お風呂ありがとうございます。身体が温まりました。」

わたしがそう言うと、弦巻さんはわたしに駆け寄り「大丈夫ですか?歩けますか?」と言いながら、わたしに手を貸してくれ、それからソファーに座らせてくれた。

「身体はどうですか?まだ痛みますか?」
「お風呂に入ってから、痛みは和らぎましたが、まだ痺れはあります。」
「そうですか、、、。お仕事は何をされてますか?」
「普通の事務員です。」
「明日から少しの間、お休みもらった方がいいんじゃないですか?」

弦巻さんにそう言われ、わたしは黙り込んだ。

なぜなら、今までも同じ理由で仕事を休み、上司や同僚に嫌な顔をされてきているからだ。