Grey Amber


「そのお言葉に、、、甘えちゃってもいいんですか?」

わたしがそう訊くと、弦巻さんは「もちろん!」と答え、それから「今は、、、美桜さんの兄役ですが、いつか、、、恋人になれたらなぁ、なんて。」と照れくさそうに言った。

「えっ、、、?」
「まだ知り合ったばかりですが、美桜さんを支えて行きたいという気持ちが強くなってきてて、、、少しでも美桜さんに笑っていて欲しいし、"生きることに疲れた"と、その言葉を美桜さんの中から消し去りたいんです。美桜さんがそばにいてくれたら、、、研究にも力が入ると思います。」

弦巻さんの気持ちと、その言葉は、今まで悩み続けてきたわたしには勿体無いほどに嬉しくて、心に沁みた。

わたしは弦巻さんの綺麗な指先に触れると、「いつか、じゃなくて、、、今でもいいですよ。」と言った。

「え、、、それは、、、」
「恋人になるの、、、今からでも、わたしは構いません。」

わたしがそう言うと、弦巻さんの表情は驚きからパッと明るくなり、その勢いからわたしを抱き締めた。

「嬉しいです。俺が全力でサポートしますから、美桜さんは療養に専念してください。」
「ありがとうございます。」

わたしは弦巻さんの背中に腕を回し、だんだんと日が落ちてオレンジ色に染まってきた海をバックにわたしたちは抱き締めあった。

それからわたしは、今まで一人暮らしをしていたアパートを解約し、弦巻さんの家に引っ越した。

ベッドもセミダブルからダブルベッドに買い替え、二人で一緒に眠るようになった。

朝になれは、強張る指先を解すようにマッサージしてくれ、痛みが出れば痛い箇所を擦ってくれる弦巻さん。

その手は温かく、わたしは痛む身体も心も弦巻さんに解されていった。

闘病生活はこれからも続く。
でも、弦巻さんがそばに居てくれれば、乗り越えていける気がした。

いつか、線維筋痛症の診断方法、治療法が見つかることを願い、わたしは今日も生きている。



―END―