Grey Amber


それからわたしたちは、お互いの過去の恋愛の話をしたり、弦巻さんが研究している"線維筋痛症"についての話を聞いたりしていた。

研究について熱く語る弦巻さんの口からは、医学用語などが出てきて、正直わたしには難しい話ではあったが、それでもわたしは弦巻さんの話に耳を傾け続けた。

本当に"線維筋痛症"と診断出来る方法や治療法などを、当事者のことを思いながら研究してるんだなぁということが伝わってくる。

そんな弦巻さんを、わたしは好きになってしまった。

「あ、すいません。つい、熱く語りすぎてしまいましたね。」

自分が熱く語りすぎたと、ふと我に返った弦巻さんは苦笑いを浮かべる。

しかし、わたしは首を横に振り「いえ、とても興味深い話でした。」と言った。

「え、本当ですか?」
「はい。」
「大体の方は、つまらなくて途中から話を聞いてくれなくなるんですよ。興味深いだなんて言ってもらったのは初めてです。」

そう言って、弦巻さんは恥ずかしいそうに微笑んだ。

「あ、そうだ。今の体調はいかがですか?あまり長い間起きてたら、疲れちゃいますよね。」
「今はちょっと頭痛があるのと、背中が痛いくらいです。」
「すいません、つい長話をしてしまって、、、」
「いえ、大丈夫です。弦巻さんと話してると、楽しいので痛みも紛れます。」

わたしがそう言うと、弦巻さんは少し驚いたような表情を浮かべ「俺との話が、楽しいですか?」と不思議そうに言った。

「はい、楽しいです!」

すると、弦巻さんは照れながらも優しい表情を浮かべて「俺も、、、美桜さんとの時間は楽しいです。」と言ってくれたのだった。