Grey Amber


そのあと、弦巻さんはリモートでミーティングを行ってからの在宅ワークの為に沢山の医学書を積み上げ読みながら、パソコンに向かっていた。

一方わたしはというと、前日に病院の受診など色々あった為に体力がかなり消耗しており、倦怠感が酷く、弦巻さんのベッドで休ませてもらっていた。

そして、わたしはいつの間にか眠っていたらしく、目が覚めた時には、窓の外からオレンジ色の光が差し込み始めていた。

いつの間にか寝ちゃってたんだ。
夜中あまり眠れなかったから、結構眠れたみたい。

まだ頭の中がボーッとする中、ゆっくりと身体を起こすと、胸を押さえつけられているような程の苦しい動悸に呼吸を整え、少し落ち着いた頃にわたしは深呼吸を何度かして、ベッドから下りた。

すると、何か良い香りがすることに気付く。

良い匂い。
弦巻さん、何か作ってる?

そう思いながら寝室を出て、微かに眩む目眩に少し立ち止まりながら、わたしは壁を伝ってリビングへと向かった。

リビングに入ると、パソコンと大量の医学書が積み上がっているデスクには弦巻さんの姿はなく、わたしがふとキッチンの方に視線を向けると、そこには弦巻さんの姿があった。

「体調どうですか?」

まず、わたしの体調を気にしてくれる弦巻さん。

わたしは「今は動悸と目眩があります。」と答えた。

「大丈夫ですか?ソファーに横になっててください。」

弦巻さんにそう言われ、ヨタヨタしながらソファーに辿り着き、ゆっくりとソファーに横になる。

すると弦巻さんが来てくれて、わたしの頭付近でしゃがみ込むと「食欲はありますか?」と訊いてくれた。