Grey Amber


それから目が覚めたのは、夜中の3時頃だった。

右の脚が痛み、その痛みから目覚めてしまったのだ。

痛みで夜中に目が覚めてしまうことはよくあることで、逆に朝までぐっすり寝られることの方が少ないというよりも奇跡に近い程だった。

わたしは痛む右脚を擦り、ただ痛みに耐えるのみ。

右脚の付け根から膝、膝から足の指先まで全てが痛い。

今まで何件もの病院に受診して来て、"痛い"ということから飲み薬のロキソニンを処方されてきたが、ロキソニンは頭痛には効果はあるが、この身体の痛みには全く効果がなかった。

痛みレベルが1から10まであったとして、救急車で運ばれた時の痛みが10だったとしたら、今は8.5くらいだ。

痛みには波があり、その波が落ち着いてくれるまで、ひたすら脚を擦り続けるしかない。

そして、やっと眠れたのは朝方の5時くらいだったが、それでも寝れたのか寝れてないのか、よく分からない状態だった。

わたしが布団から出てベッドから下りたのは、朝7時。

夜中の激しい痛みから脚の怠さと身体の倦怠感で動くのがツラかったが、ずっと寝たままでは申し訳ないと思い、脚を引きずりながら頑張って寝室を出て、リビングへと向かった。

すると、既に弦巻さんは起きていて、開いたカーテンから朝陽の日が差し込み、弦巻さんはその日を浴びるようにソファーに座りながら本を読んでいた。

「おはようございます。」

わたしがそう声を掛けると、ふと顔を上げこちらを向く弦巻さん。

弦巻さんは「おはようございます。」と言ったあと、わたしの脚の状態に気付いたのか本を閉じてソファーに置くと、ソファーから立ち上がり「大丈夫ですか?」とわたしの方へ歩み寄って来てくれた。