「じゃあ、俺の方から道重先生に聞いてみますね。実は道重先生の診察は予約がいっぱいで普通に予約を取るのは難しいので、次に研究室に来る時に診てもらえないかお願いしてみます。」
「本当に何から何まで、、、ありがとうございます。」
「いえ、、、身体に異変が出てるのに原因が分からないって、それで悩んでる方をたくさん見て来ましたから。だから、俺はちゃんと検査で診断できるようにしたくて、、、その研究と、治療法についても研究してます。」
弦巻さんはそう言うと、柔らかい表情で「俺は可能性があるということしか言えませんが、きちんと診断してもらえるといいですね。」と言った。
「はい。」
わたしは自然と笑みが溢れ、そう返事をした。
こんなに嬉しいことはいつぶりだろう。
まだ分からないけど、ちゃんとした病名がついて診断してもらえるといいなぁ。
そうすれば、前に進める気がする。
その喜びから、わたしはつい弦巻さんに喜びの抱擁をしてしまいそうになったが、ハッと我に返り、慌てて腕を縮め「すいません!嬉しくてつい、、、」と言った。
弦巻さんはハハッと笑うと、「いいですよ。喜びは誰かと分かち合った方が倍になりますからね。そんなに喜んでいただけているなら、俺も嬉しいですから。」と言い、わたしに向けて、小さく手を広げた。
わたしは弦巻さんの嬉しい言葉と行動にフフッと笑うと、「じゃあ、失礼します。」と一礼してから、そっと弦巻さんに抱きついたのだった。
すると、弦巻さんもぎこちなく抱き締め返してくれた。
こんな嬉しいことを誰かと分かち合えるって、こんなにも温かいものだったんだ。
弦巻さんとは今日知り合ったばかりだが、何故だかそんなことを感じさせないくらい、彼には癒しと安心感があった。



