「んー、血液検査でも異常は見られないね。前回撮ったレントゲンでも問題なかったし。」

まただ。

何度も言われてきた「異常なし」の言葉。

医師はただ、目の前の数値だけを見て、わたしの心に寄り添おうとしてなどくれない。

「じゃあ、、、何でこんなに痛いんでしょうか?」

わたしがそう訊くと、医師は腕を組んで「んー」と唸ったあと、「気の持ちようじゃないかな。」と言った。

気の持ちよう?
この痛みが"気の持ちよう"って、意味が分からない。

諦めることが身についてしまったわたしは「そうですか、、、」と呟くと、診察室を出て、会計を済ませると今日受診した整形外科をあとにした。

わたしはその足でそのまま、いつも行く海岸へと向かった。

そして波打ち際に置いてあるブロックの上に座り、光る地平線を見つめる。

今日も何も分からなかった。
こんなに痛いのに、ツラいのに、何も分からなければ、医師にすら理解されない。

わたしは病院を受診し、「異常なし」と言われる度に泣いた。

わたしの身体はどうなってるの?

どうして?どうして?どうして?

わたしは涙で顔がグシャグシャになるまで泣き、泣き腫らした顔で帰宅する為にバス停へと向かった。