俺が悪かったんだよな。
養護施設に預けたほうがきみのためだったのかもしれない。無理にでも幼稚園へ連れていったら、今頃、友だちに囲まれて楽しくやっていたかもしれない。
涙も出なかったんだ。
好きなひとが俺ではない誰かを選んでも。
「あぁ、そうなのか」って、それだけ。
本当は、
自分の中にいる幼い自分が、
「そんなのはいやだ。
いやだいやだいやだ!!」とズタズタに引き裂かれた心を抱えて泣きわめいていたのに。
自分の心ひとつコントロールできない俺が、また誰かとともに過ごすことを選んで、その「誰か」がおなかいっぱいで、いつも楽しそうで、俺を見て幸せそうに笑ってくれること。
そんな蜜月みたいな毎日に甘えていたんだよ。
きみに。
「トワ!!」
俺は、きみの名前を叫びながら路地裏に入る。
「トワ!!」
昼間だと言うのに薄暗く、すえたにおいのただようその細道で、
俺は、しゃがみこんでいる小さな後ろ姿を見た。
「ふ……ちゅーりっぷ……
ふ……さくらそう……
ふ……ふ……ふ……」
養護施設に預けたほうがきみのためだったのかもしれない。無理にでも幼稚園へ連れていったら、今頃、友だちに囲まれて楽しくやっていたかもしれない。
涙も出なかったんだ。
好きなひとが俺ではない誰かを選んでも。
「あぁ、そうなのか」って、それだけ。
本当は、
自分の中にいる幼い自分が、
「そんなのはいやだ。
いやだいやだいやだ!!」とズタズタに引き裂かれた心を抱えて泣きわめいていたのに。
自分の心ひとつコントロールできない俺が、また誰かとともに過ごすことを選んで、その「誰か」がおなかいっぱいで、いつも楽しそうで、俺を見て幸せそうに笑ってくれること。
そんな蜜月みたいな毎日に甘えていたんだよ。
きみに。
「トワ!!」
俺は、きみの名前を叫びながら路地裏に入る。
「トワ!!」
昼間だと言うのに薄暗く、すえたにおいのただようその細道で、
俺は、しゃがみこんでいる小さな後ろ姿を見た。
「ふ……ちゅーりっぷ……
ふ……さくらそう……
ふ……ふ……ふ……」



