俺の今の持ち家は祖父母から譲り受けたもので、
当の祖父母は故郷の石川県で悠々自適に暮らし、父は母を連れてマレーシアへ移住、妹は早々に結婚して名古屋に住んでいた。
俺にも結婚したい相手がいたが、それはかなわなかった。
そのひとはほかの男性と結婚し、今はどこにいるのかわからない。
そのひとの代わりとは言わないが、小さなトワが家に来て、
自宅で仕事をする俺のそばで絵を描いたり、折り紙を折ったり、お菓子の紙箱を切ってセロテープで貼りつけチョコレートの包み紙を飾り、オブジェを作ったりしている。
きっと、アートの才能があるのだ。
トワに多くは望まないことにしていた。
話してくれること。幼稚園へ行ってくれること。近所のひとにあいさつすること等々を。
ただ、
小さな彼が毎日、俺の作ったおいしいごはんやおやつをおなかいっぱい食べ、清潔で肌触りの良い服を着て、19時にはお風呂に入り、20時にはふかふかのお布団で寝る。
そんなささいな毎日のしあわせをていねいに積み重ねて、いつか、自然と外の世界へ目を向けてくれればと思っている。
「トワ、見て。
飛行機雲だ」
「つばき!!」
「あの飛行機はどこへ行くのかな」
「さくら!!」
当の祖父母は故郷の石川県で悠々自適に暮らし、父は母を連れてマレーシアへ移住、妹は早々に結婚して名古屋に住んでいた。
俺にも結婚したい相手がいたが、それはかなわなかった。
そのひとはほかの男性と結婚し、今はどこにいるのかわからない。
そのひとの代わりとは言わないが、小さなトワが家に来て、
自宅で仕事をする俺のそばで絵を描いたり、折り紙を折ったり、お菓子の紙箱を切ってセロテープで貼りつけチョコレートの包み紙を飾り、オブジェを作ったりしている。
きっと、アートの才能があるのだ。
トワに多くは望まないことにしていた。
話してくれること。幼稚園へ行ってくれること。近所のひとにあいさつすること等々を。
ただ、
小さな彼が毎日、俺の作ったおいしいごはんやおやつをおなかいっぱい食べ、清潔で肌触りの良い服を着て、19時にはお風呂に入り、20時にはふかふかのお布団で寝る。
そんなささいな毎日のしあわせをていねいに積み重ねて、いつか、自然と外の世界へ目を向けてくれればと思っている。
「トワ、見て。
飛行機雲だ」
「つばき!!」
「あの飛行機はどこへ行くのかな」
「さくら!!」



