サファイア

給食の時間になって、私は、みなと一緒に茶色の揚げパンを食べました。
給食が終われば昼休みになりますが、腹がくちくなったところで、
私は急に、青いプリンセスをみなに披露するのが惜しくなって来ました。

あの宝石はもっと尊ばれるべきだ。それこそ、博物館でガラスケースの中、静々と鎮座し、みなの手が一切触れぬようにするべきものだ。
急にそんな考えが浮かんで、私は宝石をみなに見せびらかすのをやめました。
このおさなきもの達の中で、自分だけがこの硬質の美しさを知っているのだ。その気持ちは私の優越感を満たしました。
秋の空は透明で青く、残暑の中、涼しい風がゆうらりと吹いていました。
私は帰り道に、一番の友人にだけ、その尊いプリンセスを見せる事に決めました。

「それ、箪笥に返した方が良いよ」