私はその宝石を自室の蛍光灯の光に当て、とくと眺めました。
そのサファイアは小さいながら表面には幾つもの細かなカットが施され、光の当たり具合や角度に寄って、青にも、蒼にも、緑にも見えました。
私はおさないながらに狩猟する生き物でした。
「明日、学校へこれを持って行こう」
私はその本能を存分に満たした後で、その狩猟の成果を見せびらかそうと言う子供でもありました。その夜は大切にその宝石をビニール製の四角い筆箱に入れて寝ました。
次の朝、母はいつもと変わらず、特に探し物をしていると言った様子はありませんでした。私は筆箱に宝石を入れた事など忘れ、ご飯と目玉焼き、味噌汁をたいらげ、学校へと向かいました。
授業中、
筆箱を開けたら、眩しいものがそこに入っていました。
やや先が丸くなり、ちびた鉛筆や、消し汚れのある丸い消しゴムとは同居してはいけない、テレヴィジョンの中の美しいプリンセスでした。
私は先生に見つかってはいけないと、そのプリンセスを筆箱に隠したまま、素知らぬ顔で授業を受けました。
盗人と言うものはみなこうして、普段は『普通』と言う日常にまるでカメレオンのように溶け込み、夜になるとそろそろと、音も立てずに悪事を働くのかも知れませんでした。
そして私は、間違いなくその素質を持っていたのです。
そのサファイアは小さいながら表面には幾つもの細かなカットが施され、光の当たり具合や角度に寄って、青にも、蒼にも、緑にも見えました。
私はおさないながらに狩猟する生き物でした。
「明日、学校へこれを持って行こう」
私はその本能を存分に満たした後で、その狩猟の成果を見せびらかそうと言う子供でもありました。その夜は大切にその宝石をビニール製の四角い筆箱に入れて寝ました。
次の朝、母はいつもと変わらず、特に探し物をしていると言った様子はありませんでした。私は筆箱に宝石を入れた事など忘れ、ご飯と目玉焼き、味噌汁をたいらげ、学校へと向かいました。
授業中、
筆箱を開けたら、眩しいものがそこに入っていました。
やや先が丸くなり、ちびた鉛筆や、消し汚れのある丸い消しゴムとは同居してはいけない、テレヴィジョンの中の美しいプリンセスでした。
私は先生に見つかってはいけないと、そのプリンセスを筆箱に隠したまま、素知らぬ顔で授業を受けました。
盗人と言うものはみなこうして、普段は『普通』と言う日常にまるでカメレオンのように溶け込み、夜になるとそろそろと、音も立てずに悪事を働くのかも知れませんでした。
そして私は、間違いなくその素質を持っていたのです。



