不意にかけられた言葉に、私は驚いて顔を上げた。彼は少しだけ目を逸らし、気まずそうに言った。
「会計を終えたあとで思ったんだ。プリンだけじゃなくて、アイスとかヨーグルトも買えばよかったかなって」
「……プリン、そんなに好きなんですか?」
彼は一瞬だけ私と目を合わせ、こくんと小さく頷いた。
──いや、これは反則だ。かわいすぎる。
私は思わず笑顔になって、「ミルクプリンが好きです」と言いかけた、そのときだった。
ラウンジの扉が開いた。
その瞬間、空気がふわりと華やいだ気がした。
艶やかなダークブラウンのウェーブヘアが揺れ、彫りの深い顔立ちに切れ長の瞳が映える。
黒のパンツスーツはシャープで洗練され、左耳のイヤーカフと右手の華奢なダブルリングが、控えめにきらめいていた。
──香坂絢音さん。
コーポレート・コミュニケーションズ所属。企画力と人脈を評価され、大手出版社からヘッドハントされた才色兼備の女性だ。
「颯真、ここにいたのね」
──颯真?
「会計を終えたあとで思ったんだ。プリンだけじゃなくて、アイスとかヨーグルトも買えばよかったかなって」
「……プリン、そんなに好きなんですか?」
彼は一瞬だけ私と目を合わせ、こくんと小さく頷いた。
──いや、これは反則だ。かわいすぎる。
私は思わず笑顔になって、「ミルクプリンが好きです」と言いかけた、そのときだった。
ラウンジの扉が開いた。
その瞬間、空気がふわりと華やいだ気がした。
艶やかなダークブラウンのウェーブヘアが揺れ、彫りの深い顔立ちに切れ長の瞳が映える。
黒のパンツスーツはシャープで洗練され、左耳のイヤーカフと右手の華奢なダブルリングが、控えめにきらめいていた。
──香坂絢音さん。
コーポレート・コミュニケーションズ所属。企画力と人脈を評価され、大手出版社からヘッドハントされた才色兼備の女性だ。
「颯真、ここにいたのね」
──颯真?
