* * *
土曜の夜、古美多に一番乗りしたのは、結城さんではなく祐介くんだった。
いつもの席に腰を下ろし、「季節のお品書き」から何品かとビール、それから柿ようかんの「真ん中らへん」を注文する。少し遅れてきても「端っこ」が残っているのは、常連さん同士のさりげない思いやりのおかげだ。
「あ、祐介くん、この前話してたやつ、割とよくできたんだけど、またお願いしてもいい?」
カウンター越しに声をかけると、祐介くんは顔を上げてにっこり笑う。
「お、ついに完成? いいよ、もちろん預かるよ!」
可愛くラッピングした小さな包みとメッセージカードを、祐介くんに手渡す。その瞬間、すっと視界の端に影が差した。
見ると、結城さんがすぐ横に立っていた。
彼の視線は、祐介くんに渡そうとしていた包みに注がれ、それからほんの一瞬だけ、私の顔を見た。
何かを問いかけるような目に、どうしてか、息をするタイミングがわからなくなった。
「颯真くんジャマイカ! また会えて嬉しいよ!」
祐介くんが明るく声をかける。結城さんはいつもよりほんの少し固い笑顔を浮かべながら、「毎週ここで会ってるじゃないか」と返した。
土曜の夜、古美多に一番乗りしたのは、結城さんではなく祐介くんだった。
いつもの席に腰を下ろし、「季節のお品書き」から何品かとビール、それから柿ようかんの「真ん中らへん」を注文する。少し遅れてきても「端っこ」が残っているのは、常連さん同士のさりげない思いやりのおかげだ。
「あ、祐介くん、この前話してたやつ、割とよくできたんだけど、またお願いしてもいい?」
カウンター越しに声をかけると、祐介くんは顔を上げてにっこり笑う。
「お、ついに完成? いいよ、もちろん預かるよ!」
可愛くラッピングした小さな包みとメッセージカードを、祐介くんに手渡す。その瞬間、すっと視界の端に影が差した。
見ると、結城さんがすぐ横に立っていた。
彼の視線は、祐介くんに渡そうとしていた包みに注がれ、それからほんの一瞬だけ、私の顔を見た。
何かを問いかけるような目に、どうしてか、息をするタイミングがわからなくなった。
「颯真くんジャマイカ! また会えて嬉しいよ!」
祐介くんが明るく声をかける。結城さんはいつもよりほんの少し固い笑顔を浮かべながら、「毎週ここで会ってるじゃないか」と返した。
