氷壁エリートの夜の顔

 ローテーブルを囲んで鍋の蓋を開けると、湯気とともに、かぼちゃの香りが立ちのぼる。

「うわ、絶対うまいやつ!」と柚月が目を輝かせ、律希は「香りだけでわかる、これは本場を超えてしまった」と言いながら器に取り分ける。

「はい、颯真さん」

「ありがとう」

 結城さんは落ち着いた声で応え、両手で器を受け取った。

「そういえばさ、母ちゃんがこたつ買い替えるから、今のやつ姉ちゃんにあげるって」

 律希の言葉に、柚月が頷く。

「うちなんか、ふたりとも背が伸びてきちゃって、今のじゃちょっと狭いの」

「わ、それは嬉しい。エアコンより電気代節約になるし」

「あと、雷が鳴ったときに逃げ込むのにも」

「ちょっと、それは言わないの!」

 笑いが弾けた。

 結城さんも声をあげて笑い、そしてお椀からかぼちゃを一つ取り上げる。
 ゆっくりと口に運ぶその所作があまりにもきれいで、私はちょっとだけ目を奪われた。

──本当に、絵になる人だな。

 鍋が空になるころには、会話も落ち着いていた。