「咲ちゃん、柿ようかんある?」
ここでは、八木さんは私のことを「咲ちゃん」と呼ぶようになった。
常連さんの多くがそうしているし、会社では相変わらず「桜さん」と節度ある呼び方をしてくれるので、私はそれを黙認することにした。
「ありますよ。今日からコーヒー柿ようかんも始めました」
祐介くんのお姉さんから、「コーヒー柿ようかん、最高です! ちょっとだけ練乳入れる?」と返事がきて、私はもう一度、練乳入りで試作した。結果、とても美味しく仕上がったので、正式にメニューの載せることにしたのだ。
八木さんは、先週と同じカウンター席に腰を下ろす。そこは、いつも結城さんが座っていた席だ。
でも、彼はもう来ない気がしていたから──空けておくことはしなかった。
「あ、八木さんじゃないですか!」
元気な声とともに祐介くんが入ってきて、うれしそうに隣に座る。
この陽キャラふたりは、先週すでに意気投合していた。
「咲さん、そういえば、最近颯真くん見ないね。元気にしてる?」
祐介くんが言い、八木さんがそれに反応する。
「颯真って、結城颯真? 彼もここの常連なの?」
ここでは、八木さんは私のことを「咲ちゃん」と呼ぶようになった。
常連さんの多くがそうしているし、会社では相変わらず「桜さん」と節度ある呼び方をしてくれるので、私はそれを黙認することにした。
「ありますよ。今日からコーヒー柿ようかんも始めました」
祐介くんのお姉さんから、「コーヒー柿ようかん、最高です! ちょっとだけ練乳入れる?」と返事がきて、私はもう一度、練乳入りで試作した。結果、とても美味しく仕上がったので、正式にメニューの載せることにしたのだ。
八木さんは、先週と同じカウンター席に腰を下ろす。そこは、いつも結城さんが座っていた席だ。
でも、彼はもう来ない気がしていたから──空けておくことはしなかった。
「あ、八木さんじゃないですか!」
元気な声とともに祐介くんが入ってきて、うれしそうに隣に座る。
この陽キャラふたりは、先週すでに意気投合していた。
「咲さん、そういえば、最近颯真くん見ないね。元気にしてる?」
祐介くんが言い、八木さんがそれに反応する。
「颯真って、結城颯真? 彼もここの常連なの?」
