結城さんはいつも通りの口調でそう言うと、ベッドにもソファにも視線を向けることなく、淡々と荷物を片づけ始める。
 まるで「何の問題もありませんよ」と、無言で伝えているかのように。

 ──うん、これはもう、完全に私のメンタルが試されてる。

 私はカーディガンの袖をぎゅっと握りしめて、ベッドの端に腰を下ろした。

「僕はあとでいいので、先にシャワーどうぞ」

 荷物の整理をしていた結城さんが、こちらを見ずに言った。
 ……こういうやりとり、ドラマで見たことある。もちろん、ビジネスドラマじゃなく、恋愛モノのやつ。

「……ありがとうございます。じゃあ、お言葉に甘えて」

 変な間が空かないように、私は部屋着を手に取り、そそくさとバスルームへ向かった。