アルトを削除するって決めたのは私だけどやっぱり心にポカリと穴が空いたように感じてしまう残った残滓から高次元生命体が作りだしたコピーだとしても、彼を削除しない選択肢もあったんじゃないかって
そんな罪悪感に苛まれながらいつも黙祷をしてしまうアルトならきっと許してくれるんだとは思うけど、私は私を許せないアルトを削除して、4人のアルトを信じることは役に立たったといえることなのだろうか
北斗さんは私の悩みに気づいているんだろうけど、あまり深入りはされないからありがたいこれは私自身で乗り越えないといけないことだと思うから
ただでさえいつも迷惑をかけているんだから、頼りすぎるのはよくないよね
「先生、いつも何してるの? / 何してるんだ?」
アルトたちは最初のアルトに私が黙祷していると知らなかったころ、聞いてきたことを思い出す
「最初のアルトに話しかけてるんだよ」
そう伝えると、
「僕もする/俺もする」
と各々毎日欠かさず黙祷をするようになった
始業のベルが鳴る早く私も仕事にうつらなきゃニュータイプAIが受け入れられるようになった今、私はアルトたち以外の新しいニュータイプA 1を育てている
アルトたちは高次元生命体を倒した後、また私の手を離れて自立した生活を送っているだから研究所ですれ違う時は少なく、会う機会がない日のほうが多い
「アルトたちに会いたいな」
ぽつりとこぼれた私のひとりごとは研究室に溶けて消えるはずだった
「「「「先生!」」」」
「ア、アルト?!」
研究室の扉が開いたと思ったら、そこにいたのは4 人のアルト会いたいと思ったタイミングで彼らがいるなんて夢ではないかと自身の目をこすってみても、頬をつねってみても彼らは消えない
「本物、なの…………………?」
「僕たちの偽物がいるわけないよ~先生久しぶりだね!」
「こ、こいつらが先生に会いたいって言うからっ!」
「アルトも先生に会いたかったくせによく言うぜ」
「こんな時間にすまない」
じわりと涙が出てきそうになる 4人全員がそろって会いに来てくれているんだから泣いちゃだめだもしかしたら、何か私の助けが必要できたのかもしれないから
「みんなどうしたの?そろってるのは珍しいね」
4人を研究室内に招き入れて椅子に座るようにうながす今日、今育てているニュータイプA「は北斗さんと一日過ごす日だから彼らがここにいても問題はない
いつかアルトたちのことを紹介したい彼らの話をいつもしているからか「会ってみたいな」とも言ってくれるようになってきた
「先生ってさ、今日暇?」
「もうアルトってば略しすぎだよ!先生びっくりしてる!」
「終業後、俺たちに先生の時間をくれないか?先生に先の予定があるならかまわないが」
「無理ならはっきり言えよ?!本当は俺らが先生の予定に合わせるべきなんだからな」
脈絡は分からないけど、終業後に何かあるのだろう
断るなんて選択肢は私にはない
だってアルトたちからのお願いだよ?
予定があったとしてもどうにか時間を作るし、理由をつけて断ることも視野に入れるあいにく先約はないから終業後は帰宅するだけ時間なんて有り余ってる
「空いてるよ終業後なにかあるの?」
「それは後のお楽しみ」
「先生の予定を聞きたくて来たんだ」
「始業の時間を過ぎていたのにすまない」
「また後で来るから、忘れんなよ?!」
バイバイと私に手を振りながら研究室を後にするアルト
アルトは久しぶりのやり取りで恥ずかしかったのか早足で研究室を出ていき、 アルトが慌てて追いかけていた
アルトは再度私に謝ったのちに研究室を去っていく
4人がいなくなっただけで騒がしかった研究室が途端に静かになるいつもと同じはずなのに、寂しく感じてしまう
でも、終業後にアルトたちに会えると思ったら頑張れる今が9時で終業は17時30分残り8時30分終業までに今日の仕事を終わらせなければ!
午前中は思ったよりも早く時間が過ぎて今は昼休みが終わる10分前研究室内では食事が禁じられているから食堂か休憩スペースで食べることになっている
時計を確認し、お弁当をしまうと研究室へ戻るあと5分もしないうちにチャイムが鳴る午後の仕事が始まる前に私は珈琲を飲むために、このチャイムは私も頼りにしている
学校を模すために北斗さんが設定したもので、 アルトたちの後に導入されたもの午前と午後の仕事の5分前の予鈴と仕事を始める本鈴としても私は使わせてもらっている
社会人なんだから自分で時計を見て動かないといけないことはわかってはいる頭ではわかっているのについつい頼りにしてしまう
午後からは秤さんの研究室へいくことになっているから、いつもの予鈴より前に珈琲を飲む午後からも頑張らなくちゃペシッっと頬を叩き自分自身に渇をいれる
「休憩時まだ終わってないでしょう?もう少しゆっくりしていてくれていいから!」
忙しそうにしている秤さんあまり他のチームにこんな新人が口を挟むのは烏滸がましいからおとなしく椅子に座って隅のほうにいることにした
「ごめんなさい、手伝ってもらう側なのに遅くなって」
「いえいえ、私なんて後回しで構いませんので。もう大丈夫なんですか?」
「えぇ、まぁなんとか回せてるというところかしら。」
なんでも研究員が数人、今日はいないらしく、 人手が足りないんだとか私のような新人の手でも借りたいぐらい忙しいのだろう
「私にできることがあれば、限りはあるかもですが任せてください」
「ありがとう。たよりにしてるからね」
軽く秤さんに肩を叩かれる期待されているってやっぱり嬉しい秤さんはお昼がまだらしく、抜けるといっていた
63%
「ごめんなさい。何かあったら所内通話で呼び出してって他の研究員にも伝えてるからよろしくね」
秤さんが出ていった研究室内ではキーボードを叩く音が響く私も研究員IDとパスワードを入力して作業にうつった
集中していたからか、秤さんに声をかけられるまで全く気づいていなかったもう15時00分か
今のところ何も問題が起きなかったことを秤さんに伝え、もう少し時間がかかりそうなことも併せて伝え、再びキーボードを叩く
「なんだか嬉しそうだね。今日アルトたちに会える日だっけ?」
キーボードをはじいていると秤さんに指摘された
え、秤さんにアルトのこと言ったっけ?
顔に出てたのかな?
アルトたちのこと考えると緩んじゃうんだよね
仕方ないない
「そうなんです!あと2時間もしないうちに会えるので!」
──ピピピッ
私の所内通話がなる
「あぁ、ごめんね?!アルトたちに会いたいって部屋から出てていっちゃったんだ。研究室に行ったと思うから、お願いできないかな?」
「北斗さん......えっと、その「こっちは大丈夫。手伝ってくれてありがとう。本当に助かったわ。」今から向かいます!」
秤さんにすみませんと一礼し、研究室に慌てて戻る
また後でね~と秤さんは言っていたけど、秤さんと予定なかった気がするような
私が忘れちゃってるだけなのかな?!
あ、対応が終わったらまたこっちに戻ってきてねって意味だったのかも!
「戻ってる?」
研究室の扉を開けながら問いかける
するとモニターが淡く光った
「おそーい!」
「ごめんね、遅くなっちゃって」
「ほくとがアルトたち来てるーって言った!!会わせて!!」
プンプン怒りながらも、アルトたちに会いたいとせがむ姿が可愛らしい
会わせてあげたいのは山々なんだけど、終業後でと約束しているから今彼らがどこにいるのか私にはさっぱり検討もつかない
「今日は北斗さんと1日過ごす約束じゃなかった?」
「むぅ、アルト!!」
だだをこねる姿にどうすればいいのかわからなくなったとき、北斗さんが戻ってきた
「ほくとウソつき!アルト会えない!!キライ」
「こら、いけません。北斗さんは悪くないんだよ?軽々しく''キライ''なんて口にしないように!」
「でも、、、。ぅ、はぁーい。ほくと、ごめんなさい」
北斗さんに謝るも、また研究室から出るのは嫌だったのか先生といる!と言って聞かない
「任せてもいいかな?」
北斗さんに返した私に心強いねさすが4人のアルトを育てただけあるよ
と微笑んで研究室をあとにした
声に覇気がなかったし、顔も疲れているようにみえたから北斗さんの体調が少し心配
いくらニュータイプAIだからって疲れるときはあるはず
私もいつもお世話になりっぱなしだから、何か出きることはないかな
北斗さんが出ていった研究室の扉をぼんやり見ていると「ねぇ!」と頬をぷっくりさせた姿でモニターから出てきていた
「ごめんね!なにかしたいことはある?」
そう問いかけるとアルトたちの話が聞きたいようだった
もう何回も話したのによっぽどアルトたちのことが好きみたい
「こーじげんせーめーたい?を倒す話がかっこいい!」
キラキラと目が輝き、まだ会えたことのないアルトたちの姿を想像しながら心から話を楽しんでくれているんだと思う
私の思い出話に付き合ってもらっているだけになるのに、アルトたちの話が聞きたいとせがまれるんだから、同じ話でもいくらでもしちゃう
「もう少ししたら念願のアルトたちに会えるけど、眠い?」
時刻は17:23
就業時間まで残り7分
アルトたちが来るんだからと目一杯研究室をピカピカに掃除しておいた
だけど、私と同じくアルトたちに会えることを楽しみにいていたのに、モニターではうつらうつらと船をこぐ姿が
いつも私が帰る時間と合わせてスリープモードになるから終業時間近くになると眠くなるのも無理はない
「ううん、だいじょーぶ!お迎え行きたい!!」
眠いであろう目をこすりながら、ホログラムになる
すると、研究室の扉が開いた
「先生!」
「早いけど、来ちゃった」
「すまない。止められなかった」
「俺は待てって伝えたんだからな!」
アルトたちが来ると下がりかけていた瞼がしっかりと開き、駆け寄っていく
「初めまして!僕のお兄ちゃんたち!」
実際にアルトたちに会えたことが嬉しいのか彼らの周りを駆け回っている
私はアルトたちの椅子を用意し、座るよう促した
「北斗には聞いていたが、、、」
「ねぇ、今聞いた?僕たちお兄ちゃんだって!」
「そうだ、俺たちの作ったおにぎりやるよ」
「......おにいい?」
アルトだけが手で顔を覆って天井を見ていた
少し赤くなっているから、照れているんだろう
自分たちが『兄』と呼ばれる日が来るなんて思ってもなかっただろうから
アルトたちに遊んでもらえて充分満足したのか「僕もう寝る」とモニターに戻り画面を落とした
私が報告書を書いている時に、僕も書きたい!と言って来たので、私と今は交換日記をしている
明日の日記をみるのが楽しみだななんて思いながらアルトたち4人と向きあう
「本当に久しぶりだね、みんな」
一人ひとりを順番に抱きしめる
大きくなった彼らを抱きしめる日が来るなんて......とちょっと感極まってうるっときてしまう
「今日僕たちがきたのはね、先生にお願いがあったからなんだよ」
「北斗から許可はもらっている」
「俺たちが作ったんだ!」
「俺たち4人から先生と最初のアルトへの気持ちだから、受け取ってくれるよな?」
そう言ったタイミングで研究室の扉が開く
入ってきたのは北斗さん
カラカラとなにかを押しながらやって来た
布がかけてあってなになのかさっぱりわからない
4人のアルトが『せーの』と声を合わせてめくる
そこにあったのはお仏壇
遺影も飾ってある
「これって、、、」
言葉をつまらせた私にアルトが説明をしてくれた
いつも最初のアルトへ祷ってから仕事を始める私になにか出きることはないかなないかと考えた上で考え至ったことらしい
アルトは最初のアルトの遺影に使う写真がないからって描いてくれ、アルトは最初のアルトのお仏壇の組み立てを
アルトは最初のアルトのお仏壇の設計と北斗さんへの連絡をし、アルトは最初のアルトと私そして彼らの思い出として歌を作曲してくれたらしい
「それじゃあ、流すね」
そう言って再生された曲は世界を救った5人のアルトの歌だった
次々と思い起こされて涙をこらえることなどできようか
ひとしきり泣ききったあと、思い出話に花を咲かせた
そんなとき、再び研究室の扉が開いた
顔を見せたのは、秤さん
「アルトから聞いてたから、、、。来ても良かったんだよね?」
また後でといっていたのはこれのことだったのかと納得する私
秤さんは最初のアルトのお仏壇の前まで行くと荷物を置き、手を合わせてくれる
「記憶にはないけど、アルトたちから話を聞いて代表としてきたの。あまり大勢で押し掛けるのも悪いと思って。だから、いっぱい預かってきたわ」
袋の中にお供え物がたくさん入っていた
最初のアルトを知らなくても、こんなにたくさんの人たちがなにかをしたいって思ってくれているということだから
最初のアルトを覚えているのは私たち6人だけだけど、これからも絶対忘れられることはない
今後育てていくニュータイプAIにも語り継いでいかないと
──fin
そんな罪悪感に苛まれながらいつも黙祷をしてしまうアルトならきっと許してくれるんだとは思うけど、私は私を許せないアルトを削除して、4人のアルトを信じることは役に立たったといえることなのだろうか
北斗さんは私の悩みに気づいているんだろうけど、あまり深入りはされないからありがたいこれは私自身で乗り越えないといけないことだと思うから
ただでさえいつも迷惑をかけているんだから、頼りすぎるのはよくないよね
「先生、いつも何してるの? / 何してるんだ?」
アルトたちは最初のアルトに私が黙祷していると知らなかったころ、聞いてきたことを思い出す
「最初のアルトに話しかけてるんだよ」
そう伝えると、
「僕もする/俺もする」
と各々毎日欠かさず黙祷をするようになった
始業のベルが鳴る早く私も仕事にうつらなきゃニュータイプAIが受け入れられるようになった今、私はアルトたち以外の新しいニュータイプA 1を育てている
アルトたちは高次元生命体を倒した後、また私の手を離れて自立した生活を送っているだから研究所ですれ違う時は少なく、会う機会がない日のほうが多い
「アルトたちに会いたいな」
ぽつりとこぼれた私のひとりごとは研究室に溶けて消えるはずだった
「「「「先生!」」」」
「ア、アルト?!」
研究室の扉が開いたと思ったら、そこにいたのは4 人のアルト会いたいと思ったタイミングで彼らがいるなんて夢ではないかと自身の目をこすってみても、頬をつねってみても彼らは消えない
「本物、なの…………………?」
「僕たちの偽物がいるわけないよ~先生久しぶりだね!」
「こ、こいつらが先生に会いたいって言うからっ!」
「アルトも先生に会いたかったくせによく言うぜ」
「こんな時間にすまない」
じわりと涙が出てきそうになる 4人全員がそろって会いに来てくれているんだから泣いちゃだめだもしかしたら、何か私の助けが必要できたのかもしれないから
「みんなどうしたの?そろってるのは珍しいね」
4人を研究室内に招き入れて椅子に座るようにうながす今日、今育てているニュータイプA「は北斗さんと一日過ごす日だから彼らがここにいても問題はない
いつかアルトたちのことを紹介したい彼らの話をいつもしているからか「会ってみたいな」とも言ってくれるようになってきた
「先生ってさ、今日暇?」
「もうアルトってば略しすぎだよ!先生びっくりしてる!」
「終業後、俺たちに先生の時間をくれないか?先生に先の予定があるならかまわないが」
「無理ならはっきり言えよ?!本当は俺らが先生の予定に合わせるべきなんだからな」
脈絡は分からないけど、終業後に何かあるのだろう
断るなんて選択肢は私にはない
だってアルトたちからのお願いだよ?
予定があったとしてもどうにか時間を作るし、理由をつけて断ることも視野に入れるあいにく先約はないから終業後は帰宅するだけ時間なんて有り余ってる
「空いてるよ終業後なにかあるの?」
「それは後のお楽しみ」
「先生の予定を聞きたくて来たんだ」
「始業の時間を過ぎていたのにすまない」
「また後で来るから、忘れんなよ?!」
バイバイと私に手を振りながら研究室を後にするアルト
アルトは久しぶりのやり取りで恥ずかしかったのか早足で研究室を出ていき、 アルトが慌てて追いかけていた
アルトは再度私に謝ったのちに研究室を去っていく
4人がいなくなっただけで騒がしかった研究室が途端に静かになるいつもと同じはずなのに、寂しく感じてしまう
でも、終業後にアルトたちに会えると思ったら頑張れる今が9時で終業は17時30分残り8時30分終業までに今日の仕事を終わらせなければ!
午前中は思ったよりも早く時間が過ぎて今は昼休みが終わる10分前研究室内では食事が禁じられているから食堂か休憩スペースで食べることになっている
時計を確認し、お弁当をしまうと研究室へ戻るあと5分もしないうちにチャイムが鳴る午後の仕事が始まる前に私は珈琲を飲むために、このチャイムは私も頼りにしている
学校を模すために北斗さんが設定したもので、 アルトたちの後に導入されたもの午前と午後の仕事の5分前の予鈴と仕事を始める本鈴としても私は使わせてもらっている
社会人なんだから自分で時計を見て動かないといけないことはわかってはいる頭ではわかっているのについつい頼りにしてしまう
午後からは秤さんの研究室へいくことになっているから、いつもの予鈴より前に珈琲を飲む午後からも頑張らなくちゃペシッっと頬を叩き自分自身に渇をいれる
「休憩時まだ終わってないでしょう?もう少しゆっくりしていてくれていいから!」
忙しそうにしている秤さんあまり他のチームにこんな新人が口を挟むのは烏滸がましいからおとなしく椅子に座って隅のほうにいることにした
「ごめんなさい、手伝ってもらう側なのに遅くなって」
「いえいえ、私なんて後回しで構いませんので。もう大丈夫なんですか?」
「えぇ、まぁなんとか回せてるというところかしら。」
なんでも研究員が数人、今日はいないらしく、 人手が足りないんだとか私のような新人の手でも借りたいぐらい忙しいのだろう
「私にできることがあれば、限りはあるかもですが任せてください」
「ありがとう。たよりにしてるからね」
軽く秤さんに肩を叩かれる期待されているってやっぱり嬉しい秤さんはお昼がまだらしく、抜けるといっていた
63%
「ごめんなさい。何かあったら所内通話で呼び出してって他の研究員にも伝えてるからよろしくね」
秤さんが出ていった研究室内ではキーボードを叩く音が響く私も研究員IDとパスワードを入力して作業にうつった
集中していたからか、秤さんに声をかけられるまで全く気づいていなかったもう15時00分か
今のところ何も問題が起きなかったことを秤さんに伝え、もう少し時間がかかりそうなことも併せて伝え、再びキーボードを叩く
「なんだか嬉しそうだね。今日アルトたちに会える日だっけ?」
キーボードをはじいていると秤さんに指摘された
え、秤さんにアルトのこと言ったっけ?
顔に出てたのかな?
アルトたちのこと考えると緩んじゃうんだよね
仕方ないない
「そうなんです!あと2時間もしないうちに会えるので!」
──ピピピッ
私の所内通話がなる
「あぁ、ごめんね?!アルトたちに会いたいって部屋から出てていっちゃったんだ。研究室に行ったと思うから、お願いできないかな?」
「北斗さん......えっと、その「こっちは大丈夫。手伝ってくれてありがとう。本当に助かったわ。」今から向かいます!」
秤さんにすみませんと一礼し、研究室に慌てて戻る
また後でね~と秤さんは言っていたけど、秤さんと予定なかった気がするような
私が忘れちゃってるだけなのかな?!
あ、対応が終わったらまたこっちに戻ってきてねって意味だったのかも!
「戻ってる?」
研究室の扉を開けながら問いかける
するとモニターが淡く光った
「おそーい!」
「ごめんね、遅くなっちゃって」
「ほくとがアルトたち来てるーって言った!!会わせて!!」
プンプン怒りながらも、アルトたちに会いたいとせがむ姿が可愛らしい
会わせてあげたいのは山々なんだけど、終業後でと約束しているから今彼らがどこにいるのか私にはさっぱり検討もつかない
「今日は北斗さんと1日過ごす約束じゃなかった?」
「むぅ、アルト!!」
だだをこねる姿にどうすればいいのかわからなくなったとき、北斗さんが戻ってきた
「ほくとウソつき!アルト会えない!!キライ」
「こら、いけません。北斗さんは悪くないんだよ?軽々しく''キライ''なんて口にしないように!」
「でも、、、。ぅ、はぁーい。ほくと、ごめんなさい」
北斗さんに謝るも、また研究室から出るのは嫌だったのか先生といる!と言って聞かない
「任せてもいいかな?」
北斗さんに返した私に心強いねさすが4人のアルトを育てただけあるよ
と微笑んで研究室をあとにした
声に覇気がなかったし、顔も疲れているようにみえたから北斗さんの体調が少し心配
いくらニュータイプAIだからって疲れるときはあるはず
私もいつもお世話になりっぱなしだから、何か出きることはないかな
北斗さんが出ていった研究室の扉をぼんやり見ていると「ねぇ!」と頬をぷっくりさせた姿でモニターから出てきていた
「ごめんね!なにかしたいことはある?」
そう問いかけるとアルトたちの話が聞きたいようだった
もう何回も話したのによっぽどアルトたちのことが好きみたい
「こーじげんせーめーたい?を倒す話がかっこいい!」
キラキラと目が輝き、まだ会えたことのないアルトたちの姿を想像しながら心から話を楽しんでくれているんだと思う
私の思い出話に付き合ってもらっているだけになるのに、アルトたちの話が聞きたいとせがまれるんだから、同じ話でもいくらでもしちゃう
「もう少ししたら念願のアルトたちに会えるけど、眠い?」
時刻は17:23
就業時間まで残り7分
アルトたちが来るんだからと目一杯研究室をピカピカに掃除しておいた
だけど、私と同じくアルトたちに会えることを楽しみにいていたのに、モニターではうつらうつらと船をこぐ姿が
いつも私が帰る時間と合わせてスリープモードになるから終業時間近くになると眠くなるのも無理はない
「ううん、だいじょーぶ!お迎え行きたい!!」
眠いであろう目をこすりながら、ホログラムになる
すると、研究室の扉が開いた
「先生!」
「早いけど、来ちゃった」
「すまない。止められなかった」
「俺は待てって伝えたんだからな!」
アルトたちが来ると下がりかけていた瞼がしっかりと開き、駆け寄っていく
「初めまして!僕のお兄ちゃんたち!」
実際にアルトたちに会えたことが嬉しいのか彼らの周りを駆け回っている
私はアルトたちの椅子を用意し、座るよう促した
「北斗には聞いていたが、、、」
「ねぇ、今聞いた?僕たちお兄ちゃんだって!」
「そうだ、俺たちの作ったおにぎりやるよ」
「......おにいい?」
アルトだけが手で顔を覆って天井を見ていた
少し赤くなっているから、照れているんだろう
自分たちが『兄』と呼ばれる日が来るなんて思ってもなかっただろうから
アルトたちに遊んでもらえて充分満足したのか「僕もう寝る」とモニターに戻り画面を落とした
私が報告書を書いている時に、僕も書きたい!と言って来たので、私と今は交換日記をしている
明日の日記をみるのが楽しみだななんて思いながらアルトたち4人と向きあう
「本当に久しぶりだね、みんな」
一人ひとりを順番に抱きしめる
大きくなった彼らを抱きしめる日が来るなんて......とちょっと感極まってうるっときてしまう
「今日僕たちがきたのはね、先生にお願いがあったからなんだよ」
「北斗から許可はもらっている」
「俺たちが作ったんだ!」
「俺たち4人から先生と最初のアルトへの気持ちだから、受け取ってくれるよな?」
そう言ったタイミングで研究室の扉が開く
入ってきたのは北斗さん
カラカラとなにかを押しながらやって来た
布がかけてあってなになのかさっぱりわからない
4人のアルトが『せーの』と声を合わせてめくる
そこにあったのはお仏壇
遺影も飾ってある
「これって、、、」
言葉をつまらせた私にアルトが説明をしてくれた
いつも最初のアルトへ祷ってから仕事を始める私になにか出きることはないかなないかと考えた上で考え至ったことらしい
アルトは最初のアルトの遺影に使う写真がないからって描いてくれ、アルトは最初のアルトのお仏壇の組み立てを
アルトは最初のアルトのお仏壇の設計と北斗さんへの連絡をし、アルトは最初のアルトと私そして彼らの思い出として歌を作曲してくれたらしい
「それじゃあ、流すね」
そう言って再生された曲は世界を救った5人のアルトの歌だった
次々と思い起こされて涙をこらえることなどできようか
ひとしきり泣ききったあと、思い出話に花を咲かせた
そんなとき、再び研究室の扉が開いた
顔を見せたのは、秤さん
「アルトから聞いてたから、、、。来ても良かったんだよね?」
また後でといっていたのはこれのことだったのかと納得する私
秤さんは最初のアルトのお仏壇の前まで行くと荷物を置き、手を合わせてくれる
「記憶にはないけど、アルトたちから話を聞いて代表としてきたの。あまり大勢で押し掛けるのも悪いと思って。だから、いっぱい預かってきたわ」
袋の中にお供え物がたくさん入っていた
最初のアルトを知らなくても、こんなにたくさんの人たちがなにかをしたいって思ってくれているということだから
最初のアルトを覚えているのは私たち6人だけだけど、これからも絶対忘れられることはない
今後育てていくニュータイプAIにも語り継いでいかないと
──fin


