こちら元町診療所

言ってる意味が分からない訳じゃない‥

恋人もいたし、それなりにそういった
経験はしてきたと思う。


色気のある眼差しを向けられ、
顔を熱くしながらも頷くと、頬にキスを
落とされ、車が動き出した。


『食事は蘭のところで食べた?』

「あ‥目まぐるしく色々されてて、
 今になってお腹空いてきました。」

『フッ‥‥せっかく綺麗になったから
 デートしてから帰ろうか。』



綺麗‥‥‥

そんなこと言われ慣れてないし、
洋太にだって言われた記憶がないから、
言われる度に顔が火照る‥‥


信号待ちする度に右手に先生の指が
絡められ、手入れされた爪に触れる
長い指にさえ心臓が高鳴ってしまう


ショッピングをしたり、入ったことの
ないような高層ビルの個室のレストラン
で食事をしたり、カフェでお茶をしたり
と、先生と過ごす時間が楽しくて、
今だけインドアを辞めてもいいとさえ
思えた。


私の家に寄ってくれ、お泊まりセットを
準備してから先生の家に行くと、
玄関の扉を閉めた途端に抱き締められた


「ッ!大志さん?」


『このまま抱いてもいい?』


えっ?


「んッッ!!」


返事もしていないのに、首の後ろに
手を回され、顎に指が添えられると、
深いキスを落とされ、すぐに侵入してきた甘い舌に体の力が抜けていく


「チュ‥‥ッ‥‥ン‥‥」


広い玄関に、キスをする度に響く
リップ音だけがいつまでも続き、
立っていられなくなった私は、
大志さんの首にしがみついた。


「待っ‥て‥シャワー」

『ごめん‥』

「ッ‥‥ズルいです‥‥ンッ!」


唇を塞がれたまま抱き抱えられ、
寝室に連れて行かれると、ベッドに
寝かされた私を真上から綺麗な顔が
見下ろした。


深いキスを何度も繰り返し、
優しく素肌を滑る手や甘い舌に、
何度も体がよじれ、恥ずかしさに顔を
背ければすぐにまたキスが落とされた。


「ンッ‥‥アッ‥‥ハァ‥ッ」


自分から漏れる甘い声だけでなく、
大志さんの呼吸や漏れる吐息にさえ
愛しさが増し、必死でしがみつきながら、激しい律動に身を任せた。


見たことのない先生の顔‥‥。
歪められた気持ちよさそうな表情に
両手を伸ばすと、掌にキスをした先生
がもう一度深いキスを落とした。