こちら元町診療所

目をまん丸にして見開きながら隣の美女を見つめると、サングラスを頭に乗せて綺麗な顔で笑った。


『準備ができてるけど、少しだけそこに
 かけて待ってて?』

「は、はい‥。」


外観は勿論のこと、内装は外国に来たかのようなインテリアでコーディネートされていて落ち着かない。


叶先生のマンションも広いけど、
ここのお家はテレビで見るようなアメリカンハウスのサイズに近い気がする。


中庭にプール!?それに、少し離れたところに見えるのはテニスコート!?


やっぱりこの家族。普通ではない‥‥。


そんな2人が、あんな小さな診療所に
いて本当にいいのか益々不思議に思う。


『お待たせ。さ、こっちよ!!』


またまた強引に手を引かれて奥へ
連れて行かれると、広々とした綺麗な
室内にたくさんの機械が置かれ、
真ん中にベッドがおかれていた。


「あ、あの‥ここは?」

『ふふ‥。ここはプライベートエステ
 サロンよ。今日はここで全身磨きま
 しょ?』


プ、プライベートエステサロン!!?

私‥今日だけで驚き過ぎて、寿命が
縮まりそう‥‥


人生で一度もエステなんて受けたことのない私には、何が正解か分からない
けど、されるがまま服を脱がされると、そこからは極上の至福の時間だった。


何これ‥‥‥。
気持ち良過ぎて意識が飛びそう‥‥。


全身を手や機械でマッサージされ、
顔のエステに入った瞬間、私は
意識が飛んで爆睡してしまったのだ


『お疲れ様でございました。
 いかがですか?』

「‥‥‥すごいしか言えません。」


鏡に映った自分のきめ細やかな肌質や、
むくみが取れて整えられた小顔に、
自分ではないみたいで言葉を失う。


エステってやっぱり凄すぎる‥‥


『終わった?じゃあ次はこっち。』

「ええっ!?」


余韻に浸る暇もなく次に連れて行かれた場所はヘアメイクだ。


テレビで見たことのある有名なヘアメイクアップアーティストに、半年切っていない髪を酷評されつつも、黒髪だけは
褒めてもらい、胸まで伸びていた髪を肩くらいまでに切ってからトリートメントをして貰った。


『素材は悪くないんだけど、いまいち
 平凡ね?』


平凡に決まってるでしょう!!?


こんなセレブリティな生活してる人と、
一般的な生活をしてる人と同じなわけ
ないでしょ!?


落ち込むくらいダメ出しを貰ったものの、メイクのアドバイスも受け、
用意されたワンピースに着替えると、
鏡に映った自分に固まった。


『so beatyful!!』

自分で言うのもなんだけど、綺麗な人が鏡に映ってる‥‥‥。これ‥‥私?