こちら元町診療所

私のモヤモヤも解決し、先生への
思いはただただ増した。


咳は出ないものの念の為マスクを
付け、残業はせずに終われる範囲で
働くのを条件に出勤したのだ。


『靖子さん、ここの検査の算定、
 これで合ってますか?』


「えっと‥‥この場合は一つに纏め
 れるものは纏めて、取れないものは
 消して貰えば大丈夫。お会計が
 ない方だから算定さえ合ってれば
 査定されないはず。」


内科だけだと上手くいってたことが、
外科と整形のレセが加わる事で慣れるまでは間違いも生じるかもしれない。


社保や国保などの保険者からの電話は、事務員全員誰でもヒヤヒヤするからね


患者さんが何割分かのお支払いをし、
それ以外の割合を病院に保険者から
支払われる為にレセプト点検は必ず
やらないといけないのだ。

一件でもミスがないのが毎月の目標なんだけど、見落としがあったりで落ち込むこともたまにはある。


保険証が同じ月内に変わってるのに、
患者さんが申告されない場合もあるし、
重度などの障害者受給者の提示が
なかったりと、受付の面で阻止できる
部分は多いからこそ、浜ちゃんは本当に
大変だと思う。


面倒だけど、毎回同じことを聞くと
いうのもミスを防げる一つの行動
なのだ。


なんとかレセプトを送信完了をし、
1日の疲れを溜めないように早めに
就寝することで、体調管理をしっかり
しつつ、次の日を迎えた。


『本日からこちらの診療所で
 お世話になります伊東 蘭です。
 よろしくお願いします。』


朝礼も兼ねて、医師、看護師、
技師、スタッフ、事務員が集まり
伊東先生の紹介が改めて行われ、
みんなはその美しさに同性でも
見惚れていた。


先生と姉弟の関係と知った後だと、
この容姿もやっぱり納得できる。


暫く見つめていると、パチっと
私を見る伊東先生がニコリと笑った
ので、苦笑いしつつ焦って頭を下げた。


数日前までは先生の元カノかもなんて
思ってたけど、まさかの身内ともなると
逆に接し方に戸惑う。


私と先生の関係性を伊東先生は
知ってるのかな‥‥‥。


なるべく勤務時間中は、態度にも
出さずに事務員として働いては
いるけど、先生の態度次第では
いつバレてもおかしくないと思ってる


みんなに平等に優しいし、甘い笑顔で
女性を悩殺してるから、今のところは大丈夫な気もするけど心配だ。