こちら元町診療所


途中で浜ちゃん達だけでなく、部長や
課長までも顔を出してくれ、お姉ちゃん
には心配かけたくないから言わないで
とお願いした。


もういつ産まれてもいいほど準備が
出来てるお姉ちゃんに、自分のことで
これ以上迷惑かけたくなかったのだ。


『靖子さんはいつも頑張り過ぎなんです
 よ!心配いりませんよ。安田さんと
 レセプト頑張りますから。』


浜ちゃん、安田さん‥ありがとう‥‥‥


『大事をとって明日も休むといい。』

「ありがと‥ございます‥‥」


大きな病院に勤めている時は、人間関係
に悩んで辞めてしまったが、ここの
診療所は小さくても人間関係にとても
恵まれている。


だからこそ、元々の自分の体の弱さや
自己管理のなさに落ち込むのだ。


シャッ


関節の痛みもかなり楽になり、
なんとか起き上がれるまでになった
私は、カーテンを開けゆっくりと
立ちあがろうとした。


『何してる。まだ寝てないと
 ダメだろう?』


先生‥‥‥


時計を見れば18時を過ぎ、みんな帰宅
した後だとわかるからこそ、私も早く
帰らないとと思った。


「平気です。勤務中にご迷惑をおかけ
 してすみません。薬が効いたので
 かなり楽ですから。」


お昼から6時間近く寝ていたし、
歩いて帰れるくらいまでには
回復してる。


『熱が出たのは俺のせいだな‥。』


えっ?


私の横に腰掛けた先生がそっと肩を
抱き寄せると、たったそれだけのこと
なのに胸が締め付けられて目頭が
ツーンと熱くなる。


「‥ッ‥‥私‥先生に酷いこと
 言ったから‥もう‥‥」


『フッ‥何か理由があったんだろう?
 あの日は、落ち着いて話せる状態
 じゃないと思ったから帰っただけ。
 家まで送ってくから帰ろう。』


年齢なんてそんなに変わらないのに、
私の放った言葉や嫌な態度を責める
こともない大人な応対に、余計に自分が
恥ずかしくなる。


泣く私を抱き締めた腕の中が温かくて、
本当は土曜日もこうしてこの温もりに
包まれていたかったと思ってたのに、
聞きたいことも聞かずに一方的に
突き放した‥‥


「先生‥‥‥ごめんなさい‥」


『泣かないで‥。また熱が上がると
 いけない。元気になったら
 話を聞くから今は休んで。』


私の部屋まで付き添い、途中スーパーで
購入してくれた食べやすいものや、
薬を置いて、先生は帰っていった。