『(クスクス‥‥‥フッ‥‥)』
「ッ!笑うなんて‥ッ‥要件は
なんです?というか歩いて数秒
なので電話の必要あります!?」
多分‥今‥顔が真っ赤に違いない‥‥。
いつもは冷静に仕事をしているから、
こんな姿を他の人に見られなくて
良かった‥‥。
『(就業後、点滴するからみんなが
帰ったら来るように。顔色が戻って
ないからツラいだろう?貧血を
甘く見るといけない。体の負担も
大きいし免疫も落ちるからね。)』
「私‥ツラそうに見えました?」
誰にもそんな事言われず午前中は
過ごせていたのに、職業病で先生には
誤魔化しが効かないんだろうか?
『‥もっと甘えればいいよ。』
えっ?
受話器越しじゃなく耳元に聞こえた
声に勢いよく振り返ると、綺麗な顔で
優しく微笑む先生が私のデスクにそっと
缶の温かいココアをそっと置いた。
『応急処置‥‥ちゃんと飲めよ?』
ドクン
鼻を掠める甘いココアの香りと、
頬に触れる長い指に、体温が上がって
いくのを嫌でも感じてしまう
「ありがとうございます‥」
『フッ‥‥今日は怒らないんだな。』
「ココアが好きなんです。飲み物に罪は
ないですから。」
『そう、覚えておくよ。』
最後に頭に軽く触れた手に感情を
押し殺し頭を下げると、足音が聞こえなくなった頃受話器をそっと置いた。
弱ってる時に優しくしないでよ‥‥。
小さく溜め息を吐きながらも、温かい
缶を手に取るとそれを両手で包んだ。
医師として心配してくれてるだけ‥‥。
そこにそれ以上の何かは何もない。
『お疲れ様でした。』
「お疲れ様です。今日は疲れたと
思うのでゆっくり休んでください。」
久しぶりに医事課の職員さんが17時に
帰宅する姿を見れてみんなやっぱり
嬉しそうだ。
私よりもうんと経験がある安田さんは
お子様が2人いらっしゃるママさんで、
家庭と子育て、仕事と自分のことを
こなしながらのフルタイムは相当
大変だと思うけど、本当に助かる。
『中原さん、ちょっといいですか?』
えっ?
みんなが帰る中、桐谷さんが私の元を
訪れるとモジモジしながら視線を
キョロキョロ泳がせているので気になり
仕事の手を止めた。
「ッ!笑うなんて‥ッ‥要件は
なんです?というか歩いて数秒
なので電話の必要あります!?」
多分‥今‥顔が真っ赤に違いない‥‥。
いつもは冷静に仕事をしているから、
こんな姿を他の人に見られなくて
良かった‥‥。
『(就業後、点滴するからみんなが
帰ったら来るように。顔色が戻って
ないからツラいだろう?貧血を
甘く見るといけない。体の負担も
大きいし免疫も落ちるからね。)』
「私‥ツラそうに見えました?」
誰にもそんな事言われず午前中は
過ごせていたのに、職業病で先生には
誤魔化しが効かないんだろうか?
『‥もっと甘えればいいよ。』
えっ?
受話器越しじゃなく耳元に聞こえた
声に勢いよく振り返ると、綺麗な顔で
優しく微笑む先生が私のデスクにそっと
缶の温かいココアをそっと置いた。
『応急処置‥‥ちゃんと飲めよ?』
ドクン
鼻を掠める甘いココアの香りと、
頬に触れる長い指に、体温が上がって
いくのを嫌でも感じてしまう
「ありがとうございます‥」
『フッ‥‥今日は怒らないんだな。』
「ココアが好きなんです。飲み物に罪は
ないですから。」
『そう、覚えておくよ。』
最後に頭に軽く触れた手に感情を
押し殺し頭を下げると、足音が聞こえなくなった頃受話器をそっと置いた。
弱ってる時に優しくしないでよ‥‥。
小さく溜め息を吐きながらも、温かい
缶を手に取るとそれを両手で包んだ。
医師として心配してくれてるだけ‥‥。
そこにそれ以上の何かは何もない。
『お疲れ様でした。』
「お疲れ様です。今日は疲れたと
思うのでゆっくり休んでください。」
久しぶりに医事課の職員さんが17時に
帰宅する姿を見れてみんなやっぱり
嬉しそうだ。
私よりもうんと経験がある安田さんは
お子様が2人いらっしゃるママさんで、
家庭と子育て、仕事と自分のことを
こなしながらのフルタイムは相当
大変だと思うけど、本当に助かる。
『中原さん、ちょっといいですか?』
えっ?
みんなが帰る中、桐谷さんが私の元を
訪れるとモジモジしながら視線を
キョロキョロ泳がせているので気になり
仕事の手を止めた。



