こちら元町診療所

「や、安田さん、説明の途中で
 すみませんでした。先週貧血で
 倒れたもので先生ったら心配症なんで
 すよ、ほんと‥ハハ‥‥」


月曜日の朝は特にバタつくのに、
分かっててここに来たなら怒りが
増してしまうとこだ


『大丈夫ですよ。流石にあの美貌には
 驚きましたが。』


『私もここに就職できてラッキー
 ですぅ。あんなレベルの人、なかなか
 会えないですし。』


2人とも‥早くも他の女子社員と同様、先生の毒牙に魅了されてしまったね。


看護師さん達のようにやる気に繋がれば
いいのだけど、集中してないとミスが
起こりやすい窓口で何もないといいな‥


説明もそこそこに、カウンター前に
4人で並ぶと、30人ほどの患者さんで
埋め尽くされた待ち合いに苦笑いが
出そうになった


『おはようございます。1番の方から
 受付いたします。』



浜ちゃんを中心に、私も桐谷さんに
指示を出しながら受付を手伝い、会計は
安田さんに入ってもらい、分からない
ところだけサポートしながら目まぐるしい時間があっという間に過ぎていった。


「はぁ‥‥やっと終わった‥‥‥。
 安田さん、桐谷さんお疲れ様です。
 浜ちゃんと一緒に食堂に行って来て
 下さい。浜ちゃん頼むね?」


指示しながらの受付は、スムーズな
ようでバタバタで、疲労も2倍近く
蓄積された気分だけど、それでもやっぱり2人増えるとありがたい!!


確実に患者さんの待ち時間が少なかった
し、課長達も本来の診療所の事務仕事に
専念できていたから嬉しいはずだ。


『靖子さんお先です。』


2人にも笑顔で手を振ると、誰もいなくなった医事課のデスクに思いっきり
突っ伏した


寝不足気味でこの忙しさはやっぱり堪えるな‥‥‥。レセプトが始まるまでは、早めに仕事を切り上げて帰ろう‥‥。


電話番をしながらいつものように、
お弁当を食べ始めると、内線が鳴り
慌てて受話器をとった。


「お疲れ様です。医事課の中原です。」


『(靖子?体調はどう?)』


ガタガタっ!!!か、叶先生!?


予想外の相手からの内線に思わず受話器を落としてしまい、慌てて咳払いをするともう一度受話器を耳にあてた。